「蚊に刺され&日焼け」で119番なぜ? 誰でも無料は日本だけ、悪質利用が増加! 求められる対策、海外との違いとは
急な病気や怪我の時は119番で救急車を呼ぶ。日本人にとって当たり前のサービスですが、実は、無料で利用できるのは世界的に異例なことです。そして、無料だからこそ本来とは違う使い方が増え、問題になっています。
「誰でも無料」の救急車は世界でも異例? 驚くべき救援依頼の実態…その対策は?
いざという時に119番に通報すれば、必ず来てくれる救急車はとても頼もしいサービスです。
しかし、近年では救急車が適切に利用されていないケースもあるようです。
そもそも、救急車とはどのようなシステムなのでしょうか。

東京都内で119番通報をかけると、最寄りの消防署につながるのではなく、基本的には東京消防庁の「災害救急情報センター」につながります(稲城市と島嶼部は除く)。
23区内であれば千代田区の特別区災害救急情報センターに、多摩地区では立川市の多摩災害救急情報センターです。
災害救急情報センターは、119番通報以外にも、警察機関や交通機関からの転送など様々な通報に対応しています。
通報を受けると、現場近くの消防署へ出動を指令します。救急の場合は、消防署の救急隊がサイレンを鳴らして出動します。
同センターへの通報は年々増えており、2022年の通報件数は過去5年で最多の約104万件でした。また、そのうち救急の通報が7割強を占めました。
日本では原則として、要請があれば救急車を出動させてきたこともあり、救急車サービスをただの移動手段として捉える行為が増えているようです。
総務省消防庁によると、2020年に出動した症状は、約半数が救急搬送の必要がない「軽症」でした。
この中には本来救急車を必要としなかった人もいると考えられ、救急車をタクシー代わりに使うような行為が増えていると言えそうです。
中には、病院に搬送したあとに、「連れてきてくれたのだから帰りも送ってほしい」などと訴える利用者もいるようです。
また、気軽に要請できるためか、何度も繰り返して利用する人もいます。
ほかにも、緊急性が低いと思われる要請事例が多々あります。
自分で病院などに行けそうなものとしては、「蚊に刺されてかゆい」、「海水浴に行って、日焼けした足がヒリヒリする」、「紙で指先を切った」といったものが挙げられています。
さらに、「病院でもらった薬がなくなった」、「今日入院予定日だから、病院に行きたい」、「ヘルパーを呼んだが来てくれないので、救急車を呼んだ」など、移動手段として要請しているものもあります。
また、2022年の東京消防庁への通報は、およそ2割が「コロナで陽性になったらどうしたらいいか」など緊急性のない内容だったといいます。
通報が集中してつながるまで2分以上かかったケースもあり、本来の救急サービスに支障が出ているようです。
このような緊急性の低い要請について、総務省消防庁の担当者は次のように話します。
「救急車は地域の限られた医療資源になり、緊急時の高い症状の方にできるだけ早く救急車が到着することが求められます。
そのため、救急車の適時・適切な利用を心がけてほしいと思います」

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しかし現在は、こうした実態に対して、日本でも救急サービスの見直しも行われるようになりました。
東京消防庁では、2007年6月1日から、個別の利用者について緊急度や重症度を評価し、結果に応じて搬送体制を提供しています。
具体的には、119番通報で出動した際に、基準と照らし合わせて明らかに緊急性が認められない場合は、救急隊が要請者にご自身で病院に向かうことをお願いしています。
同意が得られ、必要であれば受診可能な救急医療機関や東京民間救急コールセンター、東京消防庁救急相談センターなども案内してもらえます。






















