えっ、EVもバッテリーが上がるって本当!? 即座に走行不能になる? 「ついうっかり」が招くトラブルとは

クルマで起こりがちなトラブルのひとつに「バッテリー上がり」がありますが、EVのバッテリーも上がってしまうのでしょうか。

大容量バッテリーを搭載するEVもバッテリー上がる?

 クルマで多いトラブルが「バッテリー上がり」です。この状態になるとエンジンが始動せず、困ったことがある人も多いのではないでしょうか。
 
 一方、最近増えているEV(電気自動車)には大型のバッテリーが搭載されており、そのためバッテリー上がりとは無縁のように思えます。
 
 EVのバッテリー上がりは本当にないのでしょうか。

意外にもEVだってバッテリーが上がる!
意外にもEVだってバッテリーが上がる!

 2021年4月16日に国土交通省が公開した資料「JAFロードサービスからみた電動車の対応について」(JAFが国土交通省に提出した資料)によると、2020年は全体で年間200万件の救援要請があり、EVでの救援要請はそのうち5804件あったとのこと。

 この5804件のなかで、「バッテリーの過放電」、いわゆるバッテリー上がりは1329件あり、EVのロードサービスの件数では2番目に多い救援要請となっています。

 このように、EVのバッテリー上がりは意外と多く起こっているのです。

 では、なぜ大きなバッテリーを積んでいるはずのEVで、バッテリー上がりが起こるのでしょうか。

 実は、EVに搭載されているバッテリーは走るために使う「駆動用バッテリー」と、電装機器などを動かし、システムのバックアップ電源の役割も持つ「補機用バッテリー」のふたつがあります。

 駆動用バッテリーは走るために必要なバッテリーですから、確かにEVバッテリー容量は大きいのですが、補機用バッテリーは一般的なガソリン車に搭載されているものと変わりません。

 そのため、ヘッドライトやルームランプの消し忘れなどで、補機用バッテリーが上がることがあり、この補機用バッテリーはクルマを起動させる役割を持っているため、バッテリーが上がってしまうと走行することができなくなるのです。

 このように補機用バッテリーも上がってしまうのですが、さらに、EVの補機用バッテリーの電気は走行中に駆動用バッテリーから充電されるため、乗らない時間が長いと放電してしまうことから注意が必要です。

 さらに、前出の「JAFロードサービスからみた電動車の対応について」によると、EVが走行するために使う駆動用バッテリーの電池切れも年間573件あり、補機用バッテリー上がりの次に多い件数です。

 しかし、EVのロードサービス件数は年々増加している一方で、駆動用バッテリーの電池切れ件数は少なくなっているといいます。

 この資料では減少している理由については言及されていませんが、EVの理解や充電設備の増加、またバッテリー容量が大きくなっているといった理由が考えられるでしょう。

 今後、さらにEVに関する技術開発が進んだり、設備が充実したりすれば、電池切れはより少なくなるかもしれません。

※ ※ ※

 EVといえど、ガソリン車と同じで補機用バッテリーが上がってしまうと走行不能になってしまいます。

 ヘッドライトやルームランプの消し忘れなど、「ついうっかり」が大惨事を招く可能性があり、トラブルを避けるためにも、普段から消し忘れに注意しましょう。

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Writer: 大西トタン@dcp

(株)デジタル・コンテンツ・パブリッシング所属の編集者・ライター。幼少期に父親と一緒に灯油でエンジンのプラグを磨いたのをきっかけに車好きになる。学生時代はレーサーを目指しカートに挑むも挫折。現在は磨いた腕と知識を武器に自動車関係の記事をメインに執筆。趣味は週末に愛車フリードでのグルメ自販機巡り。

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