なぜ教習所で「給油方法」習わない? 減らない「燃料の入れ間違え」 必要なことでも教えられない理由とは
クルマやバイクの運転免許を取得する際に通うことがある自動車教習所。運転や法律に関することを学びますが、その後のカーライフで必ず行う「給油」に関しては教えてくれません。危険を伴う行為ですが、なぜ教えてくれないのでしょうか。
教習所でガソリンの入れ方を教えてくれない理由
運転免許を取得する際、ほとんどのユーザーがお世話になるのが公安委員会が指定する自動車教習所(指定自動車教習所)です。
クルマの運転に必要なさまざまなことを教えてくれる一方で、クルマを使う上においての基礎となる「ガソリンの入れ方」や「エアコンの使い方」といったものは、カリキュラムに含まれていません。そこにはどんな理由があるのでしょうか。

運転免許を取得するためには、各都道府県にある運転免許試験場で技能試験と学科試験に合格する必要がありますが、公安委員会が指定する自動車教習所(指定自動車教習所)を卒業することで技能試験が免除されます。
指定自動車教習所では、国家資格である指定自動車教習所指導員によって教習が行われます。
また、カリキュラムも公安委員会によって定められたものが採用されているため、無事に卒業することができれば、運転免許試験場で行われる技能試験をクリアできるだけの能力があると見なされるわけです。
しかし、実際に公道でクルマを走らせるようになると、教習所で習った内容だけでは物足りないことに気が付きます。
たとえば、ガソリンスタンドでの給油方法です。
ほとんどのクルマにとって燃料の給油が必要不可欠である一方で、教習所で給油方法について具体的に教わることはありません。
給油方法を間違えたり、油種を間違えたりすれば重大事故につながるおそれがあるにもかかわらず、なぜ教習所では給油方法を教えてはくれないのでしょうか。
指定自動車教習所の視点で言えば、「公安委員会が指定するカリキュラムに『燃料の給油方法』が存在しないため」というのが最大の理由です。
指定自動車教習所のカリキュラムは運転免許試験場での技能試験に準じて決定されていますが、運転免許試験場の技能試験に「燃料の給油方法」が存在しないため、指定自動車教習所のカリキュラムにも反映されていないというわけです。
そもそも、運転免許試験場の技能試験は、あくまでクルマの操作方法や法令理解に対する試験であり、クルマの利用方法やカーライフ全般に関する試験ではありません。
実際に首都圏にある自動車教習所の担当者は次のように話しています。
「在校生から『ガソリンの入れ方を教えて欲しい』という要望などを頂くことはあります。
しかし現状のカリキュラムから構成される項目的に盛り込むことは難しいのが現状です。
また様々な課題がクリア出来たとしてもガソリン車、ディーゼル車、電気自動車、燃料電池車など多岐に渡るため、中々網羅するのは難しいのではないでしょうか」
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したがって、そうした分野については、教習所以外の場所で学ぶ必要があります。
燃料の給油方法について言えば、ガソリンスタンドで教わることができます。
セルフ式をふくむすべてのガソリンスタンドでは、国家資格である危険物取扱者乙種第4類を保有するスタッフが営業時間に1名以上勤務していることが義務付けられています。
一見無人のように思えるセルフ式のガソリンスタンドでも実際には国家資格を持つスタッフが勤務しているため、燃料の給油方法についても、しっかりと教わることのできる仕組みとなっています。
同様に、自賠責保険への加入や車庫証明の取得、自動車関連税の納税といった、クルマを利用するうえで義務付けられていることに対しては、それぞれ国家資格保有者や行政が窓口となることができるため、教習所のカリキュラムからは除外されているようです。


















