街中を走るクルマの情報で「地図が作れる!?」 トヨタが「クルマのスマホ化」の枠を超越! 最新IT技術でどう変わる?

すでに走っているクルマからの情報で地図が作れる…?

 その他、トヨタの最新IT技術で注目されるのが、地図の自動生成「Geo」でしょう。

 これは、新型「ノア/ヴォクシー」などで標準装備している先進運転支援システム「トヨタセーフティセンス」で搭載している画像認識用カメラから、周辺の状況をGPSの位置情報を含めたデータとしてクラウドに収集して解析し、トヨタが独自の高精度三次元地図を作ってしまうというものです。

 現在、同システム搭載車は約25万台が市場に出回っていますが、3年後にはその数は約125万台になることが予想されているため、地図生成の精度がさらに上がるといいます。

 これまで高精度三次元地図については、地図関連事業者などが専用測定機器によって約6か月に1度の割合で更新していましたが、これを「Geo」では「即日」対応が可能になっているのです。

トヨタの最新「トヨタセーフティセンス」に用いられる画像認識用カメラのデータから三次元地図を作ることが出来るという(画像はイメージ)
トヨタの最新「トヨタセーフティセンス」に用いられる画像認識用カメラのデータから三次元地図を作ることが出来るという(画像はイメージ)

 このような、様々な最新IT技術を使った「新しい街づくり」を、トヨタ東富士研究所に隣接する大規模実験都市「ウーブンシティ」で社会実装を行います。

「ウーブンシティ」ででは2025年に、一部の実証実験を予定しています。

 現在までに「ウーブンシティ」には、企業と個人を合わせて5000件以上が入居や実証実験の参加を希望していますといいます。

 実物による実証実験と並行して、デジタル空間で同様のシステムの運用を検討する「デジタルツイン」の活用し、開発担当者は「街づくりのプラニングなどを事業化することも検討している」という将来構想についても明らかにしました。

※ ※ ※

 トヨタがいう「知能化」とは、「クルマのスマホ化」と表現されるようなクルマ個体だけのとどまるIT技術ではなく、「クルマと人」、「クルマと社会」、そして「人と社会」をつなぐ重要な考え方であり、その実現に向けて具体的な研究開発が大詰めに入っていることを、今回の取材を通じて実感することができました。

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Writer: 桃田健史

ジャーナリスト。量産車の研究開発、自動車競技など、自動車産業界にこれまで約40年間かかわる。
IT、環境分野を含めて、世界各地で定常的に取材を続ける。
経済メディア、自動車系メディアでの各種連載、テレビやネットでの社会情勢についての解説、自動車レース番組の解説など。
近著に「クルマをディーラーで買わなくなる日」(洋泉社)。

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