街中を走るクルマの情報で「地図が作れる!?」 トヨタが「クルマのスマホ化」の枠を超越! 最新IT技術でどう変わる?
「トヨタテクニカルワークショップ2023」では、「電動化」「知能化」「多様化」に関する様々な技術が公開されましたがトヨタの最新IT技術は凄いことになっていました。
トヨタが「クルマのスマホ化」の枠を超越! 最新IT技術で、クルマの世界感がどう変わる?
トヨタが開催した「トヨタテクニカルワークショップ2023」では、「電動化」「知能化」「多様化」に関する様々な技術が公開されました。
中でもトヨタの最新IT技術について自動車メーカーの域を超えた技術開発を行っているようです。
「これはもう『クルマのスマホ化』のレベルじゃない」。
トヨタが東富士研究所で開催した「トヨタテクニカルワークショップ2023」で、トヨタの最新IT技術について各分野の開発者から説明を聞きながら、そんなふうに感じました。
Arene OS、次世代音声認識、高精度三次元地図の自動生成、さらに次世代社会の公開実験ともいえるウーブンシティにおけるデジタルツインなど、「トヨタが自動車メーカーからIT企業になったのか?」と思えるような、IT関連の自社開発技術が次々と量産化されていくことが分かったからです。
時代を少し遡ってみますと、「クルマのスマホ化」という話は、2010年代半ば過ぎ頃から自動車業界内で囁かれるようになりました。
きっかけは、アップル「カープレイ」とグーグル「アンドロイドオート」の登場です。
これらは、クルマ本体のシステム機器である、いわゆる「車載器」とスマホが連携する仕組みです。
2013年にアップルが「iOS in the car」という発想を公開した後、シリコンバレーにあるトヨタやホンダのIT関連オフィスとアップルとの話し合いが急速に進んでいきます。
そこにグーグル(現在は親会社アルファベット)が対抗馬を持ち込んできた、というのが当時、シリコンバレー現地で取材をした際の筆者の印象でした。
その後、グーグルは2014年1月、米ラスベガスで開催されたITや家電の国際見本市「CES(コンシューマ・エレクトロニクス・ショー)」で、アンドロイドオートに加えて、クルマ本体の車載OS(オペレーティングシステム)のアンドロイド化を進めると発表。
これにより、グーグルやアップルが自動車産業界に本格参入し、「クルマのスマホ化」が加速していくのではないか、という危機感を自動車メーカー側が持つようになりました。
トヨタとしては、インフォメーション(情報)とエンターテインメントの領域を融合した造語である「インフォテイメント」の領域について、「オートモーティブ・グレード・リナックス(AGL)」という構想を主導するなど、これまで自動車メーカーとしての車載OSのあるべき姿について議論を重ねてきたところです。
それと並行して、グローバルでの先端IT技術を研究する、「TRI(トヨタ・リサーチ・インスティテュート)」を設立し、世界トップクラスのIT研究者を招聘。
その後、社会実装を踏まえた開発企業として、現在の「ウーブン・バイ・トヨタ」の誕生へとつながっていきました。
そうした中で誕生したのが、トヨタ独自の次世代OSである「Arene(アリーン)」です。
今回、「トヨタテクニカルワークショップ2023」で公開された最新資料によれば「アリーンは最先端のソフトウエアプラットフォームであり、次の3つの要素を併せ持つといいます。
ひとつ目は、TOOLS。クルマのソフトウエアを効率的に開発し、また評価するツール群。
ふたつ目は、SDK(ソフトウェア・デベロップメント・キット)。最先端のソフトウエアを容易にクルマに搭載するための開発キット。
そしてみっつ目が、UI(ユーザー・インタラクション)。人とクルマ、クルマと社会が相互の作用するための仕組み。
要するに、アリーンとは、これまでような「インフォテイメント」系の車載OSではなく、
クルマの「走る・曲がる・止まる」という走行性能や、ディーラーを通じた様々なサービス事業など、クルマに係る様々なソフトウエア全体を俯瞰(ふかん)するような概念と実質的な技術が融合した形だと言えるのではないでしょうか。
その中で、具体的な活用方法として今回、次世代音声認識技術のデモンストレーションを見ました。
ドライバーの問いかけに対して高速で高性能なレスポンスが確認できましたし、またクルマと人との会話の中から、クルマ型から様々な提案をする点も注目されます。
こうしたアリーンOSを活用した次世代音声認識により、200以上の車両機能を操作することが可能だと言います。実装は、次期グローバル量産モデルからの搭載を予定しています。
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