「水素って、結局アリなの、どうなの?」 BEVもエンジンも水素化可能な「トヨタの秘策」が世界初公開!
BEVもハイブリッド車も燃料電池車や水素燃料車に転換できる?
水素燃料車については今回、レクサス「LX」をベースとした実験車に試乗しました。
トヨタによると、この車両を外部に公開するのは世界初だということです。
乗り味としては、低速からの加速でもう少し強い加速感が欲しいと思いましたが、中・高回転域ではガソリンエンジンに近い吹き上がり感を確認できました。技術的な課題は、発生する水をどう処理するかだということです。
さて、水素ファクトリーの山形プレジデントは「我々は水素で未来を変えていく」と力強く語ります。
また、トヨタの研究開発を統括する中嶋裕樹副社長は「商用車は、(燃料電池車や水素活用モビリティの)ペースメーカーだ」と表現します。
日本での燃料電池車の普及について物流向けの他、B2G(ビジネス・トゥ・ガバメント:行政向け事業)に注目しており、公用車、救急車、ゴミ収集車などでの需要が見込まれ、それにより水素ステーションの設置が進めば、乗用燃料電池車の普及に弾みがつくという流れを想定していると説明しました。
そうした新規の乗用燃料電池車の導入準備として、マルチ水素タンクの実物も今回、世界初公開しました。
従来の円筒型ではなく、例えばBEV用の電池パックを置き換えられるような形状の水素タンクや、FR(フロントエンジン・リアドライブ)や四輪駆動車のドライブシャフトを跨ぐような鞍型形状の水素タンクも実用化を視野に研究開発してることを明らかにしたのです。
今後、トヨタはモビリティ向け燃料としての水素の「使う量」と「つくる量」との需給バランスを注視しながら、国や地域による環境施策のおける「規制ありき」ではなく、ユーザーが燃料電池車や水素燃料車を乗りたいと思うような「真の需要」を掘り起こしていくことになるでしょう。
Writer: 桃田健史
ジャーナリスト。量産車の研究開発、自動車競技など、自動車産業界にこれまで約40年間かかわる。
IT、環境分野を含めて、世界各地で定常的に取材を続ける。
経済メディア、自動車系メディアでの各種連載、テレビやネットでの社会情勢についての解説、自動車レース番組の解説など。
近著に「クルマをディーラーで買わなくなる日」(洋泉社)。
西濃、ヤマト運輸などが、日野のトラックに燃料電池搭載して実験走行開始。航続距離は600Kmとのこと
BEVよりも航続距離長く、重量も抑えられるならば燃料電池在りだね