「なっ…!」 スライドドア付き「スポーティSUV」が凄かった! 爆速エンジン搭載でも「広すぎ内装」 三菱「RVR ハイパースポーツギアR」とは
三菱の高性能4WDセダン「ランサーエボリューション」に搭載された高性能な2リッターターボ「4G63」型エンジンが、当時のハイトワゴン車に搭載されたことがあります。そんな“異質”な最速モデルを紹介します。
ランサーエボリューション譲りの高性能エンジンを搭載!
三菱「RVR」といえば、現行型で3代目となるコンパクトSUVですが、初代は今とはずいぶん異なるスタイルでした。
そんな初代RVRには、当時のラリーマシン直系の超高性能エンジンを搭載した「最速仕様」が存在していました。
現在は、三菱のコンパクトクロスオーバーSUVとして3代目モデルが販売中のRVR。
「ASX」という名称で展開する日本国外では、アライアンスを組むルノー「キャプチャー」のOEMモデルとして4代目が登場するとアナウンスされ、話題となっていますが、その初代は非常な個性的なモデルとなっていました。
1991年2月に登場した初代RVRは、一見するとハイトワゴン風のスタイルをもっていましたが、運転席側は1ドア、助手席側はリアにスライドドアを備えたワンツードアとなっており、広い室内を贅沢に使用した2列シート仕様となっていた点も特徴でした。
1992年9月には、グリルガードや背面スペアタイヤなど、RVテイストをプラスした「スポーツギア」を追加。
さらに1993年8月には、助手席側のスライドドアを廃止したうえで、電動オープンルーフを採用した「オープンギア」など幅広いグレード展開をしていた初代RVRですが、なかでも刺激的なのが、1994年9月に実施されたマイナーチェンジのタイミングでした。
このマイナーチェンジでは、新たに“ランエボ”こと「ランサーエボリューション」にも搭載されていた2リッター直列4気筒 DOHCインタークーラーターボ「4G63」型エンジンを搭載したホッテストモデル「スーパースポーツギア」が新たに追加されたのです。
ランエボは、当時三菱が世界ラリー選手権(WRC)に参戦するために当時の4ドアセダン車「ランサー」をベースに誕生した4WDのスポーツセダンです。
車名の「エボリューション(進化)」の通り、世代を重ねながら常に進化を続けていました。
260PSを叩き出していた当時のランエボ(ランサーエボリューションII)に比べ、230PSと最高出力こそ抑えられていましたが、5速MT仕様も用意されたスーパースポーツギアの異質な「速いSUV」という側面は、かなりのインパクトを与えたのでした。
そんなRVRのターボモデルの究極系と言えるのが、モデル末期の1997年1月に追加された「ハイパースポーツギアR」でしょう。
当時のランサーエボリューション(エボIV)を思わせる大きな開口部を持つフロントバンパーを含め、エアロパーツやオーバーフェンダーで盛大に武装したエクステリアは、3ナンバーサイズに拡大。
心臓部の4G63ターボエンジンは、ランサーエボリューションと同じく大型の前置きインタークーラーなどを採用して250PSへパワーアップ(AT車は230PSのまま)。
増大したパワーに対応するがごとく、室内にはレカロシートが標準装備となり、まさに“RVRエボリューション”と言っても過言では仕上がりとなっていたのです。
ただ、このハイパースポーツギアRが登場したのと同じ年の1997年11月には、ベースのRVRがフルモデルチェンジ!
2代目RVRの登場で、ハイパースポーツギアRの販売期間はわずか10カ月程度に留まり、販売台数はわずか700台足らずと、ランサーエボリューションよりも希少なモデルとなってしまいました。
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ちなみにハイパースポーツギアRと全く同じエアロパーツで武装した「ハイパースポーツギアZ」というグレードも同時期に追加されていますが、こちらは同じ4G63型エンジンながら、160PSを発生するNAモデルとなっているのでご注意を。
Writer: 小鮒康一
1979年5月22日生まれ、群馬県出身。某大手自動車関連企業を退社後になりゆきでフリーランスライターに転向という異色の経歴の持ち主。中古車販売店に勤務していた経験も活かし、国産旧車を中心にマニアックな視点での記事を得意とする。現行車へのチェックも欠かさず活動中。
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