なぜ教習所の「教官」厳しかった? 昔は「罵声」も今では「ほめる教習」が増加 教習の指導方針が変化した理由は
近年の自動車教習所ではかつての厳しい指導に代わって、優しい指導をすることが定番になっているようです。なぜなのでしょうか。
なぜ昔の教官は厳しかった?
かつて自動車教習所(自動車学校)の「教官」といえば、厳しい指導が当たり前の時代もありました。
しかし今では「優しい指導」に変化してきているようです。一体なぜなのでしょうか。

自動車教習所で「教官」(指導員とも言う)といえば、一昔前は厳しい指導が当たり前でした。
技能教習では、「そんなんじゃ止まれないよ」「後方確認できてないぞ」などキツい言い方でも愛のこもった指導を受けたり、ハンコをもらうために謙虚にしていても、なかなかハンコをもらえないという思い出がある人もいるかもしれません。
それが最近では笑顔で優しい印象に大きく変化してきている、との噂があります。そもそも、なぜ過去の「教官」は厳しく指導することが多かったのでしょうか。
都内の教習所に勤務経験のある元教官I氏に、自身の経験を踏まえて教習の変化について詳しく教えてもらいました。
「元教官という立場から言わせていただくと、基本的には限られた(実習)時間のなかで知識や技術を教えるのですから、理解度や習熟度が低い場合は、多少厳しいことを言うこともありました。
ただし勘違いしないで欲しいのは、誰に対してもできるだけ同じように接し、できるだけ最短で免許を取得してほしいと思っていることです。そのなかでも、人間的に相性があり、合わない教習生の方が厳しく感じることはあったかもしれません」
また当時ならではの時代背景もあります。当時は進学するにしても就職するにしても、普通免許を取得するのが当たり前の時代。いま以上に教習生が多く通っていた時代でもあります。そうなると、なかなか個人に合わせた指導が難しかった側面もあったのでしょう。
「本来は差があってはいけないのです。と言うのも、自動車教習所で教官になるためには、都道府県の公安委員会が実施する『指導員検査』という試験に合格する必要があります。
これには学科や技能を指導できる『教習指導員』と、修了検定や卒業検定なども実施できる『技能検定員』の2つの資格を取得する必要があります」(元教官I氏)
この「指導員検査」では、道路交通法、教習所関係法令、教育知識、交通規則、交通教則、安全運転の知識、自動車の構造に関する科目といった6つの筆記科目すべてに合格する必要があるのだとか。
さらに、ここからは「指導員補佐(教官の見習い)」として経験を積み、その後晴れて「教習指導員」になれるのだそうです。
つまり教官も教習生と同じように、試験を受けて合格したからこそ、教習生にも「もっと頑張れ!」というような気持ちになってしまうのかもしれません。
「だからこそ、技術の習熟度や操作の理解度が低い教習生には、つい厳しい言葉になってしまう部分があったのかもしれません。
また過去には女性の社会進出が遅れていたこともあり、男性社会だったのも事実。ゆえに無意識に『上から目線』な物言いをしていた教官もいたでしょう」(元教官I氏)
























































