絶滅危惧の「フェンダーミラー」がタクシーで生き残っているワケ かつての定番装備が持つ強みとは
クルマのドライバーが左右後方を確認する際に使うフェンダーミラーはかつて「定番」の装備でしたが、今やタクシー車両くらいしか目にしなくなりました。なぜタクシーでは健在なのでしょうか。
2017年発売のトヨタ「JPNタクシー」に採用
安全運転に欠かせないクルマの装備の1つにサイドミラーが挙げられますが、そのうちフェンダーミラーのタイプはどんどんと姿を消していきました。
今ではトヨタのタクシー専用車「JPN TAXI(JPNタクシー)」に標準採用されるくらいですが、なぜ、タクシー車両にフェンダーミラーが使われているのでしょうか。
ドライバーが左右後方を見るときに使うサイドミラーは、道路運送車両の保安基準第44条により義務付けられている重要な装備です。右左折や追い越し、駐車時などに必要で、安全運転に欠かせません。
そのサイドミラーは、大きく分けるとフェンダーミラーとドアミラーの2タイプがあります。
昔のテレビドラマや映画などを見ていると、サイドミラーがドアの付け根ではなく、フェンダーに装着されているのが目に付きます。これが「フェンダーミラー」と呼ばれるものです。
ボンネットを持つ乗用車はかつてこのフェンダーミラーが義務付けられていましたが、1983年に規制が廃止され、その後は日産「パルサーEXA」を皮切りとしてドアミラーが普及していきました。
そして2023年現在、ほとんどの乗用車はドアミラーを採用しています。
しかしその一方で、JPNタクシーは標準でフェンダーミラーを採用しています(JPNタクシーは一般購入も可)。
JPNタクシーは、トヨタがかつて販売していたタクシー専用車「クラウンコンフォート」の後継として、2017年に発売されたモデルです。
JPNタクシーがフェンダーミラーを採用していることについて、トヨタの関係者は「タクシー業界からの強い要望があるため」と話しています。では、この強い要望にはどのような背景があるのでしょうか。
文中のクラウンコンフォートはコンフォート(コロナ マークⅡコンフォート)の派生型で、プラットフォームはコンフォート。「コンフォートの後継車」が正確なのではないでしょうか?