自動車貿易の「現場」とは? 知られざる自動車専用船、クルマはかくして海を渡る

積み付け担当は「ギャング」?

 積み付けは、たとえば乗用車の場合、周囲のクルマとの間隔は左右10cm、前後30cmを基本にしているといいます。これを実際に積み付けていくのは、「ギャング」と呼ばれる作業員20人前後のチームで、多い時には5ギャング以上が同時に作業することもあるそうです。

 ギャングはそれぞれ、「監督」、「陸上の車両ヤードから船内までの運転を担当する移送ドライバー」、「船内から所定の位置に駐車する本付けドライバー」、「足車(ギャングをヤードに戻すクルマ)のドライバー」、「車両を固縛するラッシャー」、「船内で車両移動を整理するシグナルマン」から構成されています。前述のように、貨物倉へごくわずかな隙間だけを残して駐車していくのは、本付けドライバーとシグナルマンによる連携プレーがなせる技といえるでしょう。

 これだけ密に、かつ数多くのクルマを自動車専用船へ積み揚げするために、どれだけ細心の注意を払っていても事故は避けられないものだそうです。ただしその発生率は1.71PPM(2015年度実績)、すなわち「荷役中の100万回の車両移動につき、1.71件の事故が発生する」というレベルのものだそうです。

「たとえば、先進国の旅客機墜落確率が0.4PPMで、全世界における航空機墜落確率が8PPMだそうです。ゴルフのホールインワンよりも200倍出にくいといわれているアルバトロス(パー5のホールを2打でカップインする)は0.5~1PPMだそうです。まとめますと、1.71PPMという数字は、全世界の航空機墜落確率よりも低く、アルバトロスが出る確率よりも少々大きいといったところです」(日本郵船)

 日本郵船は現在、110隻の自動車専用船を保有しています。それらは日米間をはじめ、欧州、北米、中南米、中東、アジア諸国、アフリカなど、世界各国約200箇所の港を結び、今日も航海を続けているそうです。

【了】
提供:乗りものニュース

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