17年ぶりのフルモデルチェンジで誕生した純正「寝床」とは

　車中泊人気が高まるにつれ本格的なキャンピングカーが注目される一方で、もっと気軽に市販モデルで車中泊を楽しむスタイルにもユーザーの関心が集まっています。
　
　なかでも価格も手ごろで扱いやすいサイズの「軽ワンボックスバン」は、車中泊派の最有力候補となっているようです。

　いま新車で購入できる軽ワンボックスバンは、スズキ「エブリイ」「エブリイワゴン」と、ダイハツ「アトレー」「ハイゼットカーゴ」が二大勢力となっています。

　そのうち、上級仕様のアトレーと、商用仕様のハイゼットカーゴは、2021年12月に17年ぶりのフルモデルチェンジを実施したばかりの最新モデルです。

　ダイハツの設計思想「DNGA（Daihatsu New Global Architecture）」を採り入れ、新開発プラットフォームやCVTを軽商用車で初搭載。予防安全機能「スマートアシスト」も搭載し、走行性能や安全性、燃費、静粛性といった基本性能を大幅に向上させています。

　また、車体形状をよりスクエアに、そして床面もフラットにすることで荷室の効率を高め、小口配送業などの商業用途のみならず、近年増加傾向にあるという個人ユーザーの需要にも対応しました。

　特に、先代まで5ナンバーの乗用ワゴン車だったアトレーが、新型では4ナンバー（商用車）化したのは大きなニュースといえます。

　フルモデルチェンジに伴い新採用された乗用車同等の快適・先進装備とともに、積載性も最大限に拡大したことで、これまで軽ワンボックスバンを購入していなかった個人ユーザーのアウトドアレジャー用途にも応えている、という訳です。

　荷室の各寸法は、荷室長1820mm（2名乗車時）×荷室幅1410mm（4名乗車時）×荷室高1215mm（アトレー）。荷室の最大積載量は1275リットルにも及びます。

　車内をより効率的に使用するため、荷物整理用に棚を自作するユーザーに向け、ダイハツでは壁面などにナット穴を増設するなどの工夫も重ねています。

　そんななか、新型アトレーの純正アクセサリーとして用意される荷室据え置きタイプの「収納式デッキボードセット」（消費税・標準取付工賃込20万6712円）に対し、車中泊勢からの熱い視線が集まっているようです。

　ボードは、通常の定員4名乗車時には重ねて荷室側へ収納でき、後席をたたみ展開することで、長さ1750mm×幅1110mmの大きな寝床へと変化するものです。

　大人2名の就寝に十分な空間ですが、さらに下部には440mmの高さがあるため、ボード下を荷物スペースに、ボード上を寝床にと、就寝時に面倒な荷物移動をする必要がないのも嬉しいポイント。

　一度でも車中泊を経験したことがある人なら、大きなメリットを感じるはずです。

　ちなみにボードの長さは1750mmのため、身長180cm級の人は寝ることができなさそうですが、前席シートを前方にスライドし背もたれ部を倒すなどすれば、実用空間を拡大させることも可能なので、工夫してみるのが良いでしょう。

※　※　※

　ひと言で「車中泊を楽しみたい」といっても、実際の使い方はユーザーごとにそれぞれ異なります。

　まずは新型アトレーなどの純正ベッド仕様車を使い各々の好みを知りながら、いずれ本格的なキャンピングカーを購入するという流れを踏むのは、理想的な購入法なのかもしれません。