ヤマハが次世代モビリティ「Town eMotion」で描く姿とは!? 4輪車プロジェクト「凍結」を乗り越えた先に見据えた「未来」を探る

独自の4輪車開発に意欲的な姿勢を示していた時期も

 ここでヤマハの4輪関連事業を振り返ってみましょう。

 その原点は、1967年に市販化されたトヨタのスーパースポーツカー「2000GT」にあります。

ヤマハがかつて構想していた4輪車プロジェクトは、F1の思想が反映された「i-Stream」コンセプトによる軽量・高剛性・高強度なスケルトンフレームがベースとなっていました
ヤマハがかつて構想していた4輪車プロジェクトは、F1の思想が反映された「i-Stream」コンセプトによる軽量・高剛性・高強度なスケルトンフレームがベースとなっていました

 トヨタとの技術提携契約によって、ヤマハはエンジンの高性能化、車体やシャーシの細部設計を行いました。

 その後もエンジンでは、直列4気筒の「R」型を始め「S」型、「ZZ」型など、直列6気筒では「G」型や「JZ」型の一部でヤマハの技術が活かされてきました。

 またレース用エンジンでも、国内F2や富士グランドチャンピオンシリーズ、F3000、そしてF1へとチャレンジを続けていたことを思い出す自動車ユーザーも少なくないでしょう。

 さらにヤマハは独自の4輪車量産に向け、これまで様々なコンセプトモデルを発表し、その可能性を世界にアピールしてきました。

 そのなかで、2013年の東京モーターショーで出展した「MOTIV(モティブ)」は、日本でいう超小型モビリティのような発想で、まちづくりの観点でも実用化に向けた世間から期待が高まったコンセプトモデルでした。

 フレームの設計は、F1やマクラーレンの量産車の開発で高名なゴードン・マーレー氏が率いる企業が行うという触れ込みで、技術的には、鋼管パイプと複合材を組み合わせた「i-Stream」を活用していました。

 ヤマハの2輪車用エンジンやEVユニットなど、様々な組み合わせが可能で、当時ヤマハとして正式に4輪車開発を始めたと説明を受けました。

 その後も各種の4輪車プロジェクトが公開されますが、これらが量産される道は閉ざされてしまいました。

 それは2018年12月、ヤマハの日高祥博社長が中期経営計画を発表した際でした。

 4輪車事業の量産化について様々な検討をした結果、採算性が確保できないことなどから、4輪車開発を一旦凍結すると明らかにしたからです。

【画像】幻の「ヤマハ4輪車」! 東京モーターショーに出展した斬新4輪モビリティ「MOTIV」を写真で見る(54枚)

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