なぜ6年連続で全国1位に? 「信号機のない横断歩道での一時停止」調査の結果で長野県が優秀な理由とは

さらなる秘策も? 長野県が全国一の停止率のワケ

 さらに、長野県では長野県警が独自で開発した「外周発光装置付き横断歩道標識」と呼ばれる道路標識を2013年から本格導入し、県内の通学路などを中心に設置しています。

 この横断歩道標識は通常のタイプと異なり、標識のまわりに取り付けられた小型のLEDライトが点滅することで夜間でも横断歩道があることをドライバーに知らせる効果があります。

 2015年に信州大学がこの道路標識の導入効果について調査・分析した論文では、横断歩道の端に歩行者がいる場合のクルマの停止率が設置前と比較して約3倍に増加したほか、横断歩道を渡る歩行者の意識調査においても、発光式の道路標識を設置することによって安全性が高まったと感じる結果となりました。

 このような道路設備を工夫することも停止率の高さに影響している可能性があります。

「外周発光装置付き横断歩道標識」(画像引用:「外周発光装置付き横断歩道標識」より)
「外周発光装置付き横断歩道標識」(画像引用:「外周発光装置付き横断歩道標識」より)

 そのほか、JAFが毎年信号機のない横断歩道でのクルマの停止率を調査していることも少なからず関係しているといえるでしょう。

 長野県の停止率は、実はこの調査が始まった2016年時点は48.3%でしたが、2017年に64.2%、2018年に58.6%、2019年に68.6%、2020年に72.4%、2021年に85.2%と増加傾向になっていることから、調査結果が公表されることで県民の意識がより上がったと考えられます。

 各都道府県の結果が公表されるようになった2018年時点で停止率が0.9%とワースト1位だった栃木県についても、この結果を受けて広報活動や取り締まりを強化したところ、2022年の停止率は44.9%と大幅に増加しており、停止率がランク付けされることもドライバーの意識に大きく影響するといえます。

※ ※ ※

 信号機のない横断歩道に歩行者がいるときのクルマの一時停止率について、長野県が突出して高いのは県民の習慣として身についていることや道路標識の整備、JAFの調査結果を受けて意識が高まったことなどが挙げられます。

 横断歩道前で止まったクルマに歩行者がお礼をすることに関して、「クルマの義務なのだからお礼は不要」という声も聞かれますが、お互いに気持ち良く通行できることが交通安全の大切なポイントなのかもしれません。

【画像】どんな意味? 道路に描かれる謎の「★」や「あ!」マーク…実物を写真で見る(16枚)

参加無料!Amazonギフト券贈呈 自動車DXサミット BYD登壇 最新事例を紹介(外部リンク)

画像ギャラリー

Writer: 元警察官はる

2022年4月からウェブライターとして活動を開始。元警察官の経歴を活かし、ニュースで話題となっている交通事件や交通違反、運転免許制度に関する解説など、法律・安全分野の記事を中心に執筆しています。難しい法律や制度をやさしく伝え、読者にとって分かりやすい記事の執筆を心がけています。

1 2

実績500万人超!お得に車売却(外部リンク)

新車不足で人気沸騰!欲しい車を中古車で探す

【NEW】自動車カタログでスペック情報を見る

【2025年最新】自動車保険満足度ランキング

最新記事

メーカーからクルマをさがす

国産自動車メーカー

輸入自動車メーカー