深夜の新東名を「自動運転トラック」が走行!? 24年度に専用レーン登場へ!「物流問題」解決なるか?

そもそも自動運転レベル4って何?

 では、自動運転レベル4とはどういったものなのでしょうか。

 自動運転といえば、乗用車では、2021年にホンダ「レジェンド」に「ホンダセンシングエリート」という機能が搭載され、自動運転レベル3を世界で初めて量産化したことが大きな話題になりました。

世界初の自動運転レベル3を搭載したホンダ「レジェンド」
世界初の自動運転レベル3を搭載したホンダ「レジェンド」

 レベル3とは、運転の主体がクルマのシステムが担う仕組みで、一定の条件が整うとドライバーは走行中に運転以外のことができるという、自動車業界にとっては画期的な進化です。

 一定の条件とは、高精度地図が構築されているエリア、高速道路などの自動車専用道、衛星測位での自車位置の認識、安定した気象状況などを指します。

 ただし、ホンダセンシングエリートでは、法規制や安全性の確保から、レベル3が可能になるのは渋滞中で、かつ走行中に運転席にいる人がおこなえるのは動画視聴などに限定されています。

 さらに、豪雨などで気象状況が悪化した場合といった、自動運転を続行することが難しくなったときはクルマのシステムがドライバーに運転を要請してきます。

 一方、レベル3よりひとつ上のレベル4になると、運転の主体は常にクルマのシステムになります。

 そのため、ドライバーという概念がなくなり、車内にいる人は全員が乗員という解釈です。これを一般的に「ドライバーレス」と表現することがあります。

 モーターショーなどで自動車メーカーがこれまで出展してきた、車内がまるでリビングのような形状で乗員が対面で乗車している自動運転車が、レベル4のイメージです。

 一方、新東名で実施される自動運転車用レーンでは、ほかのトラックやクルマが同レーンに入ってこないという一定の条件によって、レベル4が安全におこなえるという考え方です。

 また、自動運転用レーンを使った実証実験で大切なのが、「先読み情報」の適格な確保です。

 具体的には、本線での渋滞の状況はもちろんですが、本線への合流の状況や本線上の落下物などを、通信技術によって走行中のレベル4トラックに限りなくリアルタイムに近い状態で情報提供します。

 道路管理者は、レベル4トラックの走行状態を常にモニタリングするシステム開発も必要になります。仕組みとしては、飛行機の管制塔や、新幹線の運行管理センターのようなイメージでしょう。

 なお、レベル4では、運転の主体がクルマのシステムなので、いわゆる遠隔操作とか遠隔運転という考え方は理論上当てはまらないというのが国の認識です。道路管理者は、レベル4トラックの安全な運行を管理する立場だといえるでしょう。

 こうした自動運転車用レーンによるレベル4は、当面、都市間を運行する大型トラック向けという考え方になります。

 あくまでも筆者(桃田健史)の私見ですが、乗用車のレベル4専用レーンという考え方を本格的に検討するのは、早くても2030年代中盤以降になるのではないでしょうか。

 物流業界は今、いわゆる「2024年問題」に直面しており、トラックドライバーの働き方改革を含めた抜本的な業界再編が必要とされています。

 そうしたなかで、自動運転車用レーンによるレベル4トラックが、物流改革を実現させるための大きなキッカケなることが期待されます。

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Writer: 桃田健史

ジャーナリスト。量産車の研究開発、自動車競技など、自動車産業界にこれまで約40年間かかわる。
IT、環境分野を含めて、世界各地で定常的に取材を続ける。
経済メディア、自動車系メディアでの各種連載、テレビやネットでの社会情勢についての解説、自動車レース番組の解説など。
近著に「クルマをディーラーで買わなくなる日」(洋泉社)。

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