トラック・物流業界の「2024年問題」とは何か ドライバーから見た問題点… 解決策はあるのか
待ち時間がストレス? 荷待ち時間の改善といった業界として取り組むべき問題点は?
しかし、法改正に反対や不安を感じつつも、ドライバーの多くは運送業界の現状に満足しているわけではないようです。
「今の業務を効率化させる必要があると思いますか。」という質問に対しては、78.6%が「効率化の必要あり」と回答(必要無しは21.6%)。
必要な対策としては「運送業界への新規参入者(人手)を増やす」が60.0%、「荷待ちの時間を減らす」が56.8%、「トラックの稼働率を上げる」が27.8%、という回答が上位を占めていました。
また、ここで注目すべきなのは2位の「荷待ちの時間を減らす」で、これはトラックに貨物を積み込む時に荷主側の都合で待たされる待機状態の事を指します。
ドライバーにとっては運行が中断されるロスタイムでしかなく、アンケートによればその平均待機時間は2.1時間で、全体の74.5%がこれをストレスに感じているそうです。
このようなにドライバーに負担を強いられる状態が日常化していることについては、そもそも物流業界が荷主優先で厳しい環境にあったことが指摘されており、トークショーに登壇したNX総合研究所常務取締役の大島弘明氏は次のように述べています。
「業界は荷主さんとの関係からすると非常に厳しい立場を強いられてきたと言えます。
1990年の規制緩和によって運送事業者は増えたものの貨物の量はそれほど増えていません。
競争が激しくなった中で、お客様を大事にしようということから、このような環境が長く続いてしまい、労働条件も上げることもできずに今に至ったということになります」
今後の対策として「この先は法規制だけでなく、トラックを新たに確保するという視点においても、ドライバーの労働条件の改善が非常に重要になっていくと思っています」と、大島氏は今後の対策についてもコメントしていました。
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今回のトークセッションは2024年問題について、現場レベルの意見や事象とフォーカスすることになりました。
この問題の解決については、法整備や業界としての対応が必要ですが、その対策の根本には「そこで働くドライバー目線」の意見も重要だといえます。
また同じく登壇した交通コメンテーターの西村直人氏は西村氏も「2024年問題と言われていますが、これはこれまで問題になっていたものを解決しましょうというスタートラインだと思います。問題が起きるのではなく解決をするタイミングなのだと」とコメント。
来年に迫った2024年問題が物流業界の問題解決だけでなく、個々のドライバーの労働環境の改善にも繋がっていくことを期待したいところです。
Writer: 布留川 司
雑誌編集者を経て現在はフリーのライター・カメラマンとして活躍。最近のおもな活動は国内外の軍事関係で、海外軍事系イベントや国内の自衛隊を精力的に取材。雑誌への記事寄稿やDVDでドキュメンタリー映像作品を発表している。
運べる荷物が減る。トラックの奪い合いが起きる。これまでの荷主からの脅しが効かなくなり、逆に、荷待が長いとか余計な仕事を押し付けてくる荷主は敬遠される。つまり、荷主がトラック業者を選ぶ時代から、トラック業者が荷主を選ぶ時代になる。
それでもトラックを抑えておきたい荷主は運賃の他に荷待ち時間の支払いや、余計な作業を自社戦力を確保して荷役させる必要が出てくる。
トラックドライバーはこれまでさせられてきた荷台から下ろした荷物を指定場所まで個別に運ぶという運賃に含まれない付帯作業の料金を貰うか、本来のトラックから下ろしたら終わりでさっさと次の積地に向かうことができる。トラックドライバーは荷物をA地点からB地点に運ぶのが仕事です。積んで走って下ろして終わりが運賃です。荷物の仕分けや指定の棚まで収納するという作業は卸業者や店の仕事です。
そして、これまで当たり前のようにタダ仕事を押し付けてきた荷主は、業務改善や作業戦力の見直し。本来の払うべき料金を払うのいづれかの選択をしなければならなくなる。
それでも変わらない所は淘汰されると良いですね。卸業者が乱立して過当競争により商品の値段が下がるのは消費者にとっては良いことですが、本来は商品価格に転化されていなければならない物流費を商品に加算されることで商品価格は上がるでしょう。
ただ、メーカーが物流費の上昇によりという理由で商品価格の改定を先日行なっていますが、トラック業者に正しく支払われているかは謎ですよ。払わなければメーカーの利益として残りますから。