最後の「超高級“V12”クーペ」誕生! ”最強の異名”持つ「レイス」登場も「最上級エンジン」なぜ“存続”難しい?
ロールス・ロイスは3月20日、V型12気筒エンジンを搭載するクーペ「レイス」の生産終了を記念する、12台限定の「ブラック・バッジ・レイス・ブラック・アロー」を発表しました。以後レイスは電動車である「スペクター」に入れ替わるようですが、V12エンジンの存続は難しいのでしょうか。
最後の「超高級“V12”クーペ」誕生!そしてEVに…
ロールス・ロイス・モーター・カーズ(以下ロールス・ロイス)は3月20日、12気筒エンジンを搭載するクーペ「レイス」の生産終了を記念する、12台限定の「ブラック・バッジ・レイス・ブラック・アロー」を発表しました。
ベースとなるレイスは、2013年発表。セダンの「ファントム」(先代)や「ゴースト」よりもパフォーマンスを重視し、従来のブランドイメージを変え、新たな若い層を取り込むことに初めて成功しました。
そんなレイスの生産終了を記念し登場するブラック・バッジ・レイス・ブラック・アロー・コレクションは、1938年に12気筒エンジンを2基搭載して世界最高速度記録575.335km/hを樹立した「サンダーボルト」からインスピレーションを得ています。
サンダーボルトの記録挑戦は、アメリカ・ユタ州のボンネビル・ソルト・フラッツで行われました。白い地面が眩しく輝き、砂漠の太陽が照りつける環境下では、ポリッシュ仕上げのアルミ製ボディが反射し、いつ計時装置を通過したのか、正確に判断するのがほとんど不可能でした。
そこで車両側面に大きな黒い矢印(ブラック・アロー)を描き、その中央に黄色の円を描くことで、高速走行中でもはっきり確認できるようにしたのです。これがブラック・バッジ・レイス・ブラック・アロー・コレクションという車名の由来であり、デザインコンセプトになっています。
同車は発表時、すでに完売していました。今回焦点にしたいのは12気筒エンジンです。
12気筒は、大排気量、高性能エンジンの究極的な存在として、ロールス・ロイスやフェラーリ、ランボルギーニなどや、国産車では市販車では唯一トヨタ2代目「センチュリー」が採用していました。
しかし、環境規制に伴う電動化が加速する中で、存続するのが難しい状況です。
ロールス・ロイスはレイスの生産を終了する一方で、同ブランド初の完全電気自動車「スペクター」を今年中にデリバリーする予定です。また、2030年までに全ラインナップを完全電気自動車にすることを表明しています。
同じイギリス生まれの超高級車ブランド、ベントレーは12気筒エンジンの生産について2024年4月をもって終了すると発表しています。
ハイブリッド車を含むエンジン車の新車販売については、EUで2035年以降禁止される見通しでしたが、今年3月、その方針が修正されました。二酸化炭素排出を実質ゼロとみなす合成燃料の使用を条件にエンジン車の販売継続が認められたのです。
合成燃料はガソリンの代わりとして使えるため、従来型エンジンを見直したり、別方式に転換したりすることなく、環境性能を高めることが可能です。
現状、製造コストや規格などの課題があるため、普及は限定的と見られています。果たして12気筒エンジンは存続するのでしょうか。行方が注目されます。
コメント
本コメント欄は、記事に対して個々人の意見や考えを述べたり、ユーザー同士での健全な意見交換を目的としております。マナーや法令・プライバシーに配慮をしコメントするようにお願いいたします。 なお、不適切な内容や表現であると判断した投稿は削除する場合がございます。