最上級のトヨタ新型「プリウス」“合わせガラス”のドア窓で車内が静か! 水没時に脱出困難な可能性も!?

トヨタ新型「プリウス」の最上級グレード「Z」は、フロントウインドウとフロントのドアウインドウに合わせガラスを採用して静粛性を高めています。これが水没時にデメリットとなりそうなのですが、一体どういうことなのでしょうか。

水没時にどうやって脱出したら良い?

 2023年1月からデリバリーがスタートしたトヨタ新型「プリウス」(5代目)は、エモーショナルをキーワードにしたデザインや、スポーツカー並みの動力性能を持つ2リッターハイブリッドを新たにラインナップするなど、話題となっています。
 
 なかでも最上級の「Z」グレードは、ほかのグレードには備わらない装備やオプションが設定された、まさに渾身の仕様となっているのですが、実は動力性能や先進装備だけでなく、静粛性にも気を遣っているのです。

新型「プリウス」の最上級は前席のドアガラスに合わせガラスを採用
新型「プリウス」の最上級は前席のドアガラスに合わせガラスを採用

 静粛性に関して、実はほかのグレードとはウインドウガラスが異なっています。

 フロントウインドウ(ウインドシールド)は全グレードで高遮音性ガラスが採用されていますが、Zグレードではフロントのドアガラスも同じ構造の遮音性ガラスが採用されました。

 ただ、ここで気になるのが、フロントドアガラスがフロントウインドウと同構造ということになると、こちらも合わせガラスが使われているという点でしょう。カタログにもしっかり「合わせガラス」との記載があり、トヨタに確認したところ、やはりドアガラスもフロントウインドウと同構造とのことです。

 合わせガラスとは、2枚のガラスの間にラミネートの中間層が挟まっているものを指しており、フロントウインドウによく使われています。そして新型プリウスの合わせガラスは中間層に防音効果のあるものが挟み込まれているようです。

 なぜフロントウインドウに合わせガラスが使われるかというと、飛び石などが当たった場合でも、強化ガラスのように無数にヒビが入ったり、割れたガラスが飛び散ったりするリスクを減らし、ガラスを貫通して石が車内に飛び込むことを抑えることができるのが大きな理由です。

 新型プリウスの場合、合わせガラスを通常より多く使用することで遮音性が高いというのは大きなメリットとなりますが、万が一水没などをしてしまった際、レスキューハンマーなどでフロントドアガラスを割って脱出するという手法が取れないというデメリットも存在します。

 トヨタでは、そういった場合はリアウインドウを割って脱出するようにアナウンスしているということです。自身のクルマはもちろん、レンタカーなどで新型プリウス(Z)に乗る機会がある人は、覚えておいたほうが良いかもしれません。

 ちなみにパノラマルーフも同様に合わせガラスを使用しているので、有事の際は基本的にリアのガラスを割るほかないようです。

 なお、ドアガラスに合わせガラスを採用している車種は珍しいわけではなく、高級車や輸入車では採用されている例もそれなりに存在します。

 高級車については遮音性が高まるという理由が最たるものですが、合わせガラスは前述したように中間層が存在することで強化ガラスのように粉々に粉砕しないため、防犯性が高いという理由もあるんだとか。

 いずれにしても万が一のときを考えて、普段乗っているクルマのウインドウガラスがどんなものになっているのかは一度確認しておくと良いでしょう。

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Writer: 小鮒康一

1979年5月22日生まれ、群馬県出身。某大手自動車関連企業を退社後になりゆきでフリーランスライターに転向という異色の経歴の持ち主。中古車販売店に勤務していた経験も活かし、国産旧車を中心にマニアックな視点での記事を得意とする。現行車へのチェックも欠かさず活動中。

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