小さな「4人乗り仕様」世界初公開! 月9800円の激安「大熊」年内発売!? 国内生産の中国車目指す
「大熊Car」とはどんなクルマ? 2年以内に日本国内で製造目指す
一方、この2車種に加えて日本での販売が決定しているのが「大熊Car」です。
アパテックモーターズによって「LCC(低価格競争戦略)モデル」と位置付けられたこのEVは、中国メーカーが開発し、アパテックモーターズにOEMの形で供給、日本で販売されます。
2023年3月上旬から予約が開始され、1台9800円という安価なリース価格もあって、物流業界を中心に1週間で500台の受注がありました。
日本のみならず東南アジアにも投入予定で、特に日本では軽自動車規格に収まるよう、金型レベルからの改修・適合を予定しているとのこと。
また、日本導入当初は中国より輸入する形をとるものの、数年以内には日本国内生産を開始する計画であることも明かされました。
現在、福島県大熊町にてテストコースを含む生産設備の建設が進んでおり、筆者も大熊町で取材見学をしてきました。
もし実現するとなれば、1990年に生産終了した「日産製フォルクスワーゲン サンタナ」以来の、純粋な海外メーカーのクルマが日本で生産される事例(非OEM)となります。
また、中国メーカーのクルマが日本に作られた工場で日本人の手によって生産される初の事例でもあります。
アパテックモーターズは生産設備を福島県大熊町に誘致することで、雇用の創出や地域経済の活性化、地産地消の促進など、長期的なスパンでの復興につなげる狙いがあるとしています。
また、中国企業側にとってもブランドイメージの向上となり、日中間の交流促進へも貢献するとしています。

大熊 Carは近所への買い物や送迎など、近場での使用を想定した電気自動車であるため、急速充電機能は搭載しません。
そのため、「日中に使用、夜間に家庭などで充電」という運用シナリオを想定しており、専用の急速充電設備を新たに設ける必要もありません。
アパテックモーターズは導入におけるハードルを下げることで、今までEVに興味を持たなかった層からの関心や意識を高める狙いがあるとのこと。
同社の代表取締役の孫峰は次のようにコメントしています。
「 私たちの目的は、低コストでEVを提供することで、より多くの人々がEV車両を手に入れることができるようにすることです。
EVの普及率が高まれば、低所得者でも環境にやさしい社会を実現することができます。
我々のターゲット顧客は、レンタカー企業、企業営業用車、リース企業、そして主にZ世代の方が使っていただきたい最初のEVを目指しています。
今回の販売開始により、アパテックモーターズは日系の新興メーカーとして日本市場での地位をさらに強化し、EV車両市場における存在感を高めることが期待されます。
また、製造基地の立ち上げにより、地域経済の発展に貢献することが期待されます。
今後も地域産業振興やSDGs達成に貢献するため、地産地消にも力を入れていくつもりです」
※ ※ ※
アパテックモーターズがマーケティング調査を行い、日本で販売準備に入った小型EV 3車種はいずれも2023年中には販売が開始されるのではないかとみられます。
なかでも日本での使い勝手に配慮される仕様の大熊Carは月額制サービスによって提供されるとしており、新たなビジネス形態の普及促進にも繋がることでしょう。
Writer: 中国車研究家 加藤ヒロト
下関生まれ、横浜在住。2017年に初めて訪中した際に中国車の面白さに感動、情報を集めるうちに自ら発信するようになる。現在は慶應義塾大学環境情報学部にて学ぶかたわら、雑誌やウェブへの寄稿のみならず、同人誌「中国自動車ガイドブック」も年2回ほど頒布する。愛車は98年式トヨタ カレン、86年式トヨタ カリーナED、そして並行輸入の13年式MG6 GT。





























































