実は廃れてない? クルマの「サンルーフ」は「パノラマルーフ」に変化? いま増加傾向にある背景とは

「サンルーフ」から「パノラマルーフ」に? 増加の理由は?

 では、なぜ近年になって広大なガラス張りのパノラマルーフという形で再注目されているのでしょうか。

 この点について、カローラクロスやハリアー、RZに採用されているサンルーフを製造している、AGCの担当者は次のように話します。

「ルーフ全面をガラスで覆うようなサンルーフ(パノラマルーフ)が登場した背景には、自動車用ガラス製造技術の向上が関係しています。

 近年では、遮熱・断熱性能に優れた『Low-Eコート付きガラス』が登場し、さらに軽量かつ十分な強度を持つようになったことで、採用されるモデルが増えたと考えています。

『Low Emissivity (低放射)』の意味を持つ『Low-Eコート付きガラス』は、特殊な金属膜をコートすることで放射による伝熱を抑えた遮熱・断熱性能が高いガラスとして、おもに住宅用などに使用されてきました」

レクサス新型「RZ450e」(北米仕様)のパノラマルーフ
レクサス新型「RZ450e」(北米仕様)のパノラマルーフ

 これまでは、重量や衝突安全性などの観点から自動車用途での採用が難しかったとされていましたが、技術面や製造面での進歩などによって、現在ではひとつの選択肢となったようです。

 また、パノラマルーフの採用による新たなメリットについて、前出の担当者は以下のように話します。

「『Low-Eコート付きガラス』に加えて、調光機能を持つガラスが登場したことも、パノラマルーフ採用する車種が増えたことの一因と思います。

 これによりシェードレスが可能となったことで、車体の軽量化や車内ヘッドクリアランスの確保へとつながっています」

 昨今のクルマにとって軽量化や居住性向上は最重要課題のひとつです。ルーフのガラス化がクルマの性能向上に果たす役割が大きくなればなるほど、パノラマルーフを採用するモデルも増えると見られています。

※ ※ ※

 パノラマルーフを採用するモデルが増えた背景には、クルマのグローバル化が関係しているという指摘もあります。

 カローラクロスやハリアーはグローバルモデルとして中国や欧米といった主要な海外市場で展開されていますが、こうした地域では日本よりもパノラマルーフの人気が高いと言われています。

 前述の理由に加えて、こうした事情もパノラマルーフが増えた要因のひとつと考えられています。

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トヨタ ハリアー

Writer: Peacock Blue K.K.

東京・渋谷を拠点とするオンライン・ニュース・エージェンシー。インターネット・ユーザーの興味関心をひくライトな記事を中心に、独自の取材ネットワークを活用した新車スクープ記事、ビジネスコラム、海外現地取材記事など、年間約5000本のコンテンツを配信中。2017年創業。

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