日産京都自動車大学校（京都校）は、過去の東京オートサロンや大阪オートメッセにてさまざまなカスタムカーをお披露目してきました。
　
　そのなかで、東京オートサロン2020でお披露目された「VISION JUKE」は存在感のあるデザインを採用した1台です。

　日産は、栃木・横浜・愛知・京都・愛媛に自動車専門学校を展開し、「コミュニケーション能力を高める教育を基に、社会に貢献できる人財の育成をする」という教育方針のもと、自動車業界の将来を支えています。

　そのなかで京都校は、2017年4月にカスタマイズ科を開設し、自由な発想からボディデザインを具現化し、車両を製作することに取り組んできました。

　そのカスタマイズ科の強みについて同校の担当者は次に話しています。

「京都校のカスタマイズ科の拘りは『自主性を育てる』『時間管理の徹底』『人の事を考え行動できる』この3本柱で学生を育てています。

　また、作品(製作車両)も自分達の作りたいクルマを作るのではなく、ターゲットユーザーを設定し年齢・場所・服装などを想像。

　チームで話し合いを行い車両を製作しています。自分達の想いが世の中の思考と合った時の喜びを学ぶ。これが京都校カスタマイズ科の強みです」

　このような特徴を持つカスタマイズ科が制作したVISION JUKEは、2015年上海モーターショーで日産の海外ブランド「インフィニティ」が発表した「ビジョンGT」の姿をジュークに落とし込んだモデルです。

　コンセプトは「僕らのこだわりは見るものを魅了する」として、40代から50代のお父さん世代が心躍る「カッコいいクルマに乗ってほしい」という想いを形にしたといい、どこから見ても美しい「全方位美人」を再現したようです。

　見た目はフロントやリアなどを学生達がFRPを使って制作し、足回りにはタイヤにミシュラン「PILOT SPORT4S（225／40ZR19）」、ホイールにウエッズ「LEONIS（19インチ）」、サスペンションにエアフォースジャパンのエアーサスペンションキットを装着しています。

　このような特徴を持つVISION JUKEについて、当時の担当者は次のように語っています。

「このときのカスタマイズ科は9名の学生でスタートしました。

　前年のカスタマイズ科の実績を超すべく、4月より必死に考えに考えている最中に『東京オートサロンに出展しないか?』と話が舞い込んでき、2月完成予定を構想に車両を考えていたが12月末の車両を完成させなくてはいけないということになり、最高のプレッシャーを抱えスタートを切りました。

　当初、車両製作で盛り込みたかった技術内容もミーティングの中身もオートサロンに間に合わす『スピード』というキーワードが入ってき戸惑ったことを鮮明に覚えています。

　その戸惑いのなかにも、学生の『やりたいこと　エアサス・シザードア』、『見せたい事』を考え抜きました。

　エアサスだけで1／4の予算を使うため、車両選択は予算がかからない整備科で使用しないジュークを使い製作することを決定。

　また、車両イメージはプレイステーション『グランツーリスモ』に登場する『ビジョンGT』をオマージュすることを共に決定しました。

　作業をおこなっている最中、日産よりアクセサリー事業部の川嶋本部長が10月中旬に当校に『日産自動車の車両造りの考え方』の講義をおこなってもらいました。

　初めて、このクルマの乗っているユーザーを連想することを学び学生は感動。しかし、なかなか、製作している途中の車両とターゲットカスタマーを繋ぎ合わせることが難しかったです。

　学生も必死で考え抜き、車両の色・内装などターゲットカスタマーを連想して車両を完成したことを覚えています。

　このときの車両造りは、ターゲットカスタマーなどユーザーのことを考えることなく、車両製作していましたが一番大切な『ターゲットカスタマー』を川嶋校長から学びました。

　東京オートサロンでは『ビジョンジューク』という名で出展して、前年に続けとボンネット裏にはもみじを全面に散らしましたがコンテストを受賞できませんでした。

　涙をのみましたが初めての東京オートサロン、学生全員最高に楽しみました。

　このとき、中国武漢でコロナが蔓延。しかし大阪オートメッセでは見事に学生の努力が認められコンテストを受賞しました。

　受賞後は陸事と書類提出のやり取りを続け何とかナンバー取得。卒業までの期間、学生だけでやり抜いた車両が誕生しました」

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　日産のコンパクトSUVとなるジュークを見事に変貌させたカスタマイズ科の学生達。

　かつて日産が公開したGT-Rのパワートレインを載せた「ジュークR」に匹敵する存在感のカスタムカーになりました。