“大胆顔”で若者を惹きつけろ! 新型「MAZDA 2」大幅改良でマツダがとった「若年層を取り戻す」策とは
「調和」を保ちながら「自分らしさ」を貫く
こうしたマツダ2の厳しい市場状況について、マツダは真摯に向き合い、今回の大幅改良では「マツダのエントリーモデルとして若年層に振り向いて頂く」ことを重視。
20代・30代の日常での行動、購買意識、そして価値観全体についてマツダ社内で解析チームを立ち上げ、詳細に検証したのです。
その結果、導き出したのが「周囲との調和をとりつつも、自分らしさを追求したい」という言葉です。
また、コロナ禍、ウクライナ・ロシア情勢、そして物価高など社会への様々な不安要素があっても、「不確実な世の中だからこそ、自分に自信を持ち、自分らしく生きたい」というニーズが高まっているというのが、今回のマツダ2大幅商品改良に向けた商品企画の起点となっています。
そこでマツダ2改良のポイントの中心を、「色や素材」の活用をさらに強化した様々な価値コンセプトの提案としました。
具体的には、グレードとして、これまでの好評の「Black Tone Edition」を進化させた「SPORT」と、最大198通りの表現パターンや様々な用品を充実させた「BD」、さらにこれまで好評の「Sunlit Citlus」を継続させた大きく3つの商品価値ベースに移行しました。
エンジンは1.5リッターガソリンと1.5リッターディーゼルとし、グレード数ではこれまでの13から6に集約しました。
BDで採用する、“最大198通りの表現パターン”とは具体的に、ボディに対して11色のルーフフィルムやホイールキャップなどでの組み合わせによるもので、大胆にイメージを変えた「顔」や「ミラーカバー」など随所に施されたアクセントが印象的です。
ルーフフィルムは、2トーンカラーとしてMX-30のオプション設定ですでに量産化している技術で、ボディ塗装の上塗り工程を2回から1回に短縮することで、製造工場でのCO2(二酸化炭素)排出削減に大きく貢献します。
また、インテリアなどには、材料を着色したバイオプラスチックを利用することでも、塗装工程を廃止しています。この技術は、マツダの各モデルでも適宜、展開することを想定しているといいます。
こうした、環境に対する企業の取組についても、環境意識の高い若い世代の購買意欲を高める要因となることが期待されるでしょう。
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気になったのは、ハイブリッド車などの電動化についてです。
今回のマツダ2商品改良では採用されていませんが、欧州など海外向けMAZDA 2では、トヨタから「ヤリスハイブリッド」をOEM(相手先ブランド生産)による供給を受けています。
さらに、3代目デミオにはEV(電気自動車)をリース販売したほか、ロータリーエンジンを発電機として使うレンジエクステンダーの試作車も公開されています。
そうしたロータリーエンジン技術は、先ごろ発表された「MX-30」のプラグインハイブリッド車「e-SKYACTIV R-EV」の量産につながっています。
電動化について、マツダ2の開発責任者は「国内販売店から(マツダのコンパクトカーに対する)ハイブリッド車導入の強い要望があるのは事実」と日本市場の実状を説明しました。
その上で、「マツダ2は日本のほか、タイやメキシコなど、まだ電動化が本格化していない新興国市場の需要が高い」とし、そうした中でコストと性能を上手くバランスさせる電動化については「社内で議論した」ともいいます。
しかし、マツダ全体としては、2022年11月に公表した「中期経営計画のアップデートおよび2030年の経営方針」の中で、コンパトカーの電動化についても触れているとして、マツダ2の今後の電動化の行方についてはコメントを避けました。
大幅改良を受けた新型マツダ2の月販目標台数は、これまで同様の3500台。
価格については、グレード名称は変更していても、装備などの内容からすると価格は事実上の据え置きとなります。
Writer: 桃田健史
ジャーナリスト。量産車の研究開発、自動車競技など、自動車産業界にこれまで約40年間かかわる。
IT、環境分野を含めて、世界各地で定常的に取材を続ける。
経済メディア、自動車系メディアでの各種連載、テレビやネットでの社会情勢についての解説、自動車レース番組の解説など。
近著に「クルマをディーラーで買わなくなる日」(洋泉社)。
マツコネを止めない限り、若者はおろか年配者にも敬遠されるでしょうね。