最も売れたのは日産「シルフィ」なぜ? セダンはオワコンじゃない!? 3年連続首位のシルフィ、猛追のBYDから見る中国市場とは

人気高まるBYDや根強い人気のトヨタ…2023年はどうなる?

 また、2022年はBYD各車種の成長が顕著でした。

 2021年まではBYDの車種がトップ10に入ることがなく、トップ20に1車種入る程度にとどまっていました。

 それが2022年では4位に33万1029台のセダン「秦」、そして6位に27万3800台のSUV「宋PLUS DM-i」が入り込み、目覚ましい記録を残しました。

 とくに、秦に関しては2021年では17万1331台で17位に位置しており、販売台数を約2倍にまで伸ばしたことになります。

 ちなみに宋PLUSはプラグインハイブリッド(PHEV)以外にも純電動の「宋PLUS EV」が販売されており、こちらは5万5632台を記録しました。

 宋PLUSは総合して32万9432台を販売し、そのうちPHEVモデルが83%を占める計算になります。

 トップ10入りは果たせなかったものの、BYDのフラッグシップセダン「漢」も22万631台を販売し12位に位置。

 また、日本販売が決定している「ドルフィン(中国名:海豚)」も18万2557台で17位となっています。

日本でも発売が予定されているBYD「DOLPHIN(ドルフィン)」
日本でも発売が予定されているBYD「DOLPHIN(ドルフィン)」

 それ以外の車種に関しては、基本的にいつもの常連車種となります。

 Cセグメントではフォルクスワーゲン「ラヴィダ」にトヨタ「カローラ」とその姉妹車の「レビン」など、そしてDセグメントではホンダ「アコード」やトヨタ「カムリ」と、これらの車種は例年トップ10入り、もしくはそれに迫る販売台数を記録しています。

 とくに、カローラにおいては第一汽車との合弁「一汽トヨタ」が生産・販売する「カローラ」と、広州汽車との合弁「広汽トヨタ」が生産・販売する「レビン」の2車種に分かれています。

 これらの販売台数を合算すると45万9653台となり、シルフィを超えるベストセラー車種になる計算です。

 2023年もさらに多くの車種が登場を控えています。

 乱立する中国メーカーは続々と新車種を投入し、電気自動車のみならず、ハイブリッド車の領域でも日本勢やドイツ勢は激戦を強いられることでしょう。

 ですが、新車種を投入するのはほかも同様です。

 販売台数を落としたシルフィも2023年3月にマイナーチェンジを控えており、4年ほど継続したデザインに別れを告げます。刷新されたデザインによって人気は再燃することでしょう。

 1位に迫る勢いで猛追する宏光 MINIEVがシルフィを追い抜くのか、それとも王座をシルフィが守り抜くのか。

 はたまた、BYDやその他メーカーの車種が頭角を現すのか、中国の乗用車市場からは目が離せません。

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Writer: 中国車研究家 加藤ヒロト

下関生まれ、横浜在住。2017年に初めて訪中した際に中国車の面白さに感動、情報を集めるうちに自ら発信するようになる。現在は慶應義塾大学環境情報学部にて学ぶかたわら、雑誌やウェブへの寄稿のみならず、同人誌「中国自動車ガイドブック」も年2回ほど頒布する。愛車は98年式トヨタ カレン、86年式トヨタ カリーナED、そして並行輸入の13年式MG6 GT。

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