トヨタが「AE86 2人乗り&MT仕様」を世界初公開、なぜ? 発売から40年目…水素&EVで華麗にドリフトするハチロクを展示した理由
え? 本当に走るの? ドリフト可能なAE86が凄い…
ちなみにこの2台、単なる展示用のモデルではなく実際に走行が可能です。
筆者は富士スピードウェイ・ショートコースでその模様を特別に見ることができました。ドライバーは佐々木雅弘選手が担当でした。
AE86 H2コンセプトは出力がまだ出せない状態で、走行はコースを流して走る程度ですが、軽快で粒が揃ったようなサウンドは綺麗にバランス取りされたガソリン車のような印象。
ポート噴射で出力を出すのは難しいようですが、今のトヨタであればガソリン車同等(120ps/14.5kgm)を超えるのは時間の問題かなと。
水素エンジンは過給機との相性がいいといいますが、できればNAエンジンのままで実現してほしいと願っています。
AE86 BEVコンセプトはコースイン直後から元気に走行。トルクはガソリン車同等ですが、瞬発力の高さはガソリン車とは大違いで外から見ていても直感的に「速い!」と感じるレベル。
ドリフト走行も楽々こなしていましたが、クルマの動きも電気自動車とは思えないほどキビキビしたものですが、無音なのにタイヤのスキール音だけが聞こえる状況は、ある意味不思議な感覚でした。
現時点ではバッテリー容量が少ないので走れる時間は非常に少ないですが、バッテリーの革新が何とかしてくれるでしょう。
現時点でどちらのAE86も完璧な物ではありませんが、このクルマを出した意義は「古いクルマも決して見捨てない」というトヨタの決意表明だと解釈しています。
そして、トヨタの「カーボンニュートラルは全方位で進める」のピースがまたひとつ埋まりました。
もちろん、既販車でカーボンニュートラルというと、カーボンニュートラル燃料が一番身近だと思いますが、あえて難しい課題から挑戦してみる、これも今のトヨタの凄い所かもしれません
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クルマ好きのなかには「カーボンニュートラルといっても、自分とは関係ないし」と思っている人も多いかもしれません。
しかしカーボンニュートラルのために、これまで大事にしてきた「愛車」に乗れなくなってしまったらどうするのか。
そんな状況にしないためにも、クルマ好きもカーボンニュートラルを自分事としてもっと考えてほしいなと考えます。
そんなキッカケとなる原単位となるクルマが、この2台のAE86なのです。
Writer: 山本シンヤ
自動車メーカー商品企画、チューニングメーカー開発を経て、自動車メディアの世界に転職。2013年に独立し、「造り手」と「使い手」の両方の想いを伝えるために「自動車研究家」を名乗って活動中。日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員。
そもそもドリフトはスピン回復のテクニックであって、速さには関係しない。比較的新しい競技で子供のころはなかった。マナーの悪さが問題になっている。水素、evの新技術は否定しないが、わざわざ優れたガソリンエンジンを捨てるのはどうかと。修理部品を作るなど技術の引き継ぎや古典技術を楽しむ方が好きだ。