ガソリン「半分給油」はいくらお得になる? 賛否ある「半分派・満タン派」問題! 金額的には微妙だった
節約効果は限定的、万が一の備えを考えると満タン給油がベター
果たして、この方法は実際に燃費向上にどれほど貢献するのでしょうか。
トヨタ「ヤリスクロス」(ガソリン車/FF)の「Z」を例に検証してみましょう。
このモデルのWLTCモード燃費は18.8km/Lとなっています。
月間の走行距離が1000km、ガソリン価格が170円/Lと仮定した場合、燃料代は月間で約9043円、年間で約10万8511円となります。
ヤリスクロスの燃料タンク容量は42Lであるため、満タン状態では車両重量(乾燥重量)の1140kgに対して約31.5kgが加わりますが、もし「半分給油法」を実践した場合、約15.75kgの軽量化が可能です。
新科学技術推進協会によれば「100kgの軽量化によって燃費はおよそ7%から9%向上する」といいます。
今回はおよそ15.75kgの軽量化であるため、燃費向上効果は単純計算で1.1%から1.4%ほどという計算になります。
仮に「半分給油法」によって1.4%の燃費向上効果が得られたとすると、ヤリスクロスの燃費は18.8km/Lから約19.1km/Lへと向上します。
これを先ほどの条件に当てはめてみると、燃料代は月間で約8901円、年間で10万6806円となります。
「半分給油法」を実践しなかった場合と比較すると、月間で約142円、年間で約1705円の節約が実現したことになります。
この金額をどうみるかは人それぞれですが、実際のところは、決して大きな金額とはいえなさそうです。

一方、「半分給油法」について、あるガソリンスタンドのスタッフは次のように警鐘を鳴らします。
「軽量化による燃費向上を目的として、ガソリンを満タンにしないことはあまりおすすめできません。
むしろ、災害発生時などにはじゅうぶんな量のガソリンが入っていた方が好ましいため、できる限り満タンに近い状態でいることが良いと思います」
※ ※ ※
2011年に発生した東日本大震災の直後には、沿岸の製油所が被災したことなどを発端に、深刻なガソリン不足が発生しています。
地方部などクルマでの移動が主流となっている地域では、ガソリンは文字通り生命線となっている一方、消防法などの観点からクルマ以外の場所へ個人が大量に備蓄することは困難です。
逆にいえば、個人がガソリンを備蓄する最適な手段はクルマへの給油ということになります。
節約も重要ですが、万が一の事態に備えて、常に満タン給油をするのが比較的に良いといえそうです。
Writer: Peacock Blue K.K.
東京・渋谷を拠点とするオンライン・ニュース・エージェンシー。インターネット・ユーザーの興味関心をひくライトな記事を中心に、独自の取材ネットワークを活用した新車スクープ記事、ビジネスコラム、海外現地取材記事など、年間約5000本のコンテンツを配信中。2017年創業。




















