大雪立ち往生でEVのバッテリーはどの程度“もつ”のか? 迫る「電欠」…最も有効な寒さ対策は? 4通りで検証

大雪でEVが立ち往生した場合、どのくらいの時間を車内で過ごせるのでしょうか。JAFが4通りの暖を取る方法で、快適さとバッテリー消費具合を検証しました。

19時実験開始→翌朝まで残量ある?

 クルマを運転していて大雪に見舞われたときに注意したいのが、立ち往生です。1台でもその場から動けなくなると立て続けに多くの車両が滞留することになり、その結果、解消までの長い時間を車内で過ごすことになります。

 では、普及が本格化しつつあるEV(電気自動車)だと、どのくらいの時間を車内で過ごせるのでしょうか。

大雪の立ち往生にはさまざまな危険が伴う
大雪の立ち往生にはさまざまな危険が伴う

 2021年2月、JAF(日本自動車連盟)が山形県内で、大雪によりEVが立ち往生したという想定で、快適に過ごす方法と電力消費の2項目について検証しました。

 まず、車内で快適に過ごす方法については、検証用にEVを4台用意し、それぞれに1人ずつ乗車。そして次のように暖房を異なる条件で19時から5時間使用しました。なお、実験開始時の外気温は氷点下8.1度でした。

・A車:オートエアコン25度常時稼働
・B車:電気毛布(電源ソケット使用)のみ
・C車:シートヒーターをHiにし、足元には電気フットヒーター(電源ソケット使用)
・D車:毛布のみで、寒く感じたときにエアコンON、寒くなくなったらエアコンOFF

 開始3時間後(22時)、電気毛布のB車は「肌が露出した部分が冷たく感じる」と報告。D車の乗員は「ヒーターOFF後、30分間は車内が温かいが、その後手足の先から冷えて1時間ほどしか耐えられない」といいます。

 この時点でB車とC車のフロントガラスは、氷点下まで下がっていました。

 開始5時間後(24時)、A車は「最初から最後まで快適だった」という一方で、B車は「電気毛布で体温は保てたが、かからない部分は寒かった」、C車は「右足のつま先が冷えてきて、滞在はあと2時間ぐらいが限界」、D車は「エアコンのONとOFFをこまめに切り替えていたが窓ガラスが凍りつき、首から上が冷えた」ということです。

 では、電力消費はどの程度だったのでしょうか。24時をもって乗員は全員降車した後も翌朝8時まで測定を続けました。なおD車については、24時以降はオートエアコン25度設定で常時稼働に変えています。

 実験開始時はいずれもバッテリー残量が70%でしたが、以降、次のように残量が減っていきました(19時開始→24時→翌8時)。

・A車:70%→38%→4時半頃に残量10%になったため終了
・B車:70%→66%→50%以上
・C車:70%→60%→50%以上
・D車:70%→60%→25%

 検証の結果、電気毛布のみのB車や、シートヒーターと電気フットヒーターを併用したC車は比較的電力の消費が抑えられたことが分かります。

 JAFは、EVはバッテリーが減っていくにつれて航続可能距離も短くなっていくことから「暖房の使用方法は考慮する必要がある。寒さの感じ方に個人差はあるが、バッテリーを保ちつつ体への負担を減らすには、今回の暖房使用条件などを上手に併用することが効果的」と分析。「EVで降雪地域に行く場合は、毛布や電源ソケットを使う暖房器具を車内に備えておくとよい」とアドバイスしています。

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Writer: くるまのニュース編集部

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