車中泊可能なスズキ新型「スペーシアベース」少人数レジャーに最適な軽があえて「商用車」で投入された訳
スズキの軽乗用車「スペーシア」をベースとした新型「スペーシアベース」が追加されました。スペーシアとの最大の違いは軽商用車として登場したことですが、そこにはスズキの戦略があったようです。
ニッチな新型スペーシアベースを加えたスズキの本音とは?
今は軽自動車が人気で、国内で売られる新車の40%近くを占めています。そして軽乗用車の過半数に達するカテゴリーが「スーパーハイトワゴン」です。
全高が1700mmを超えるボディによって車内は広く、スライドドアも装着。居住性や積載性、乗降性が優れ、ホンダ「N-BOX」やスズキ「スペーシア」、ダイハツ「タント」を筆頭に売れ行きも好調です。
そして2022年8月には、スペーシアに新型「スペーシアベース」が加わりました。スペーシアには、以前から標準ボディに加え、エアロパーツを装着する「スペーシアカスタム」、SUV風の「スペーシアギア」が用意されており、新型スペーシアベースは4番目のタイプになります。
新型スペーシアベース最大の特徴は、ほかの3タイプのような軽乗用車ではなく「軽商用車」になることです。
軽商用車の規格には最大積載量が定められており、新型スペーシアベースでは200kgです。軽商用車は後席よりも荷室面積を広く確保する必要があり、後席の取り付け位置は軽乗用車のスペーシアに比べて大幅に前寄り。そのために後席の足元空間はかなり狭く、大人が座るのは実質的に困難でしょう。
また、軽乗用車の車検期間は、最初は3年後でその後は2年ごとですが、軽商用車は最初から2年です。
例えば購入して4年半を経過したときに手放すと、軽乗用車が車検を受ける回数は1回ですが軽商用車は2回に増えます。
任意保険料は、今は自由化されて一概にはいえませんが、軽商用車は、軽乗用車に比べて年齢条件などの設定が異なる場合があります。保険会社や補償内容によっては、軽商用車の任意保険料は軽乗用車に比べて高くなることがあります。
その代わり軽自動車税は安く、軽乗用車は年額1万800円ですが、軽商用車なら5000円に収まります。
それでも軽商用車には不利な条件が多く、商品力を総合的に判断すると、新型スペーシアベースは買い得とはいいきれないところがあるにも関わらず、スズキが新型スペーシアベースを開発した理由はどういうことなのでしょうか。
それは、スペーシアに1~2名で乗車して、各種のレジャーに使いたいユーザーが増えているからです。
車内の広さだけを重視するなら、エンジンを前席の下に搭載して有効室内長を拡大したスズキの軽商用車の「エブリイ」を選べば良いのですが、エブリイは軽乗用車に比べて運転しにくく、乗り心地も良いとはいえず、さらにエブリイにはサイドエアバッグやチルトステアリングも装着されません。
そこで軽乗用車のスペーシアの発展型として、軽商用車の新型スペーシアベースを開発しました。
運転席と助手席はスペーシアと同様に快適で、装備も充実しています。一方でボディの後部は軽商用車の造りにすることで、荷室の積載性や作業性も高めました。
この背景には新型コロナ禍も影響を与えています。車内でリモートワークや車中泊をするなど、クルマを居住空間として活用するニーズが高まったことです。
他人と接することなく、1人で自転車やキャンプ道具などを満載してレジャーを楽しむときにも、新型スペーシアベースは使いやすい荷室レイアウトです。
開発者は「新型スペーシアベースは、仕事で使うエブリイとは異なる一般ユーザー向けの商用バンとして開発しました」と述べています。
最近は小型/普通商用車のトヨタ「ハイエース」でも、趣味のツールとして使う個人ユーザーが増え、新型スペーシアベースも同様の需要をねらっているというわけです。
ハイゼットカーゴかエブリーで迷っている。CVTの選択が在るハイゼット。後席の窓が開き、セーフティーサポート無しが選べるエブリー。それ以外に興味なし。
乗用車か商用車で迷うべきポイントは無い。これまで商用車を乗り続けているが、ここで書かれているほど維持費が高いと感じることは無く、使用する上での利便性を考えたら2年車検や任意保険料の差は微々たる差としか感じない。