もはや「モーターショー」の役割は終わった!? 欧州の異変が日本にも飛び火か 「コロナ禍」だけではない衰退の理由とは

国際モーターショー開催に際し重要視される3つの指標とは

 筆者(桃田健史)はこれまで40年以上に渡り、世界各地のモーターショーの現場を定常的に取材してきました。そうした経験の中から、その原因を探ってみたいと思います。

パリショー2022会場のステランティスブースを訪れたフランス・マクロン大統領(右)
パリショー2022会場のステランティスブースを訪れたフランス・マクロン大統領(右)

 まずは、近年のモーターショーの変遷について振り返ります。

 一般的に世界の有名モーターショーといえば毎年または隔年開催で、北米国際自動車ショー(デトロイトショー)、スイス・ジュネーブショー、ドイツのフランクフルトモーターショー、フランスのパリショー、そして東京モーターショーなどがあり、各メーカーが新車や将来に向けたコンセプトモデルを発表するという流れでした。

 そのほかにも、特にアメリカではシカゴ、ロサンゼルス、ダラスなどでかなり規模の大きなローカルモーターショーが毎年開催されてきました。

 そうした中で、2000年代に入ると、BRICsと呼ばれる経済新興国でも自動車の製造・販売が盛んになったことで、中国の上海ショー、北京ショー、インドのニューデリーショー、ロシアのモスクワショー、また東南アジアではタイのバンコクショーなどでも、それぞれの国や地域での需要を考慮した様々な新型車が披露されるようになります。

 こうしてモーターショーの実施数がグローバルで増加していく中、自動車メーカーは投資効果が高い出展を模索するようになっていきました。

 具体的には、出展する場所を絞り、かつ使用する展示物などを輸送しやすい設計として流用するようになったのです。

 また、出展費用とその効果について精査を行い、コストパフォーマンスが悪いショーでの出展を取りやめるなど、自動車メーカーはモーターショーに対する厳しい目が注がれるようになっていきました。

 国際モーターショーが開催される際に、各メーカーが出展を決めるために重要視する指標は大きくわけて3つあります。

 ひとつ目は、プレスを通じてどのくらい記事や映像が露出されたかの調査。

 ふたつ目は、個人ユーザーに対して、メーカーに対する認知度や購買意欲の変化の調査。また東南アジアなどでは、モーターショーで個人向けに新車販売の成約をとるケースもあります。

 そして3つ目は、販売店からの受注獲得実績、または受注見込みです。

 ほとんどの自動車メーカーでは、販売店に卸売りしたあと、販売店が個人や法人のユーザーに小売りするのが商流の基本です。そのため、モーターショーでは販売店関係者が新車仕入れに来る場でもあるため、アメリカではモーターショーに対してディーラーショーという言い回しも使わるほどです。

 こうしたモーターショーに関わる三本柱に、2010年代中頃から変化が見られるようになります。

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