自動車開発に欠かせない風洞実験が個人でもできるように？

　2022年10月17日に株式会社日本風洞製作所は、株式会社ニシヤマと共同で同社が開発したコンパクト風洞試験システム「Aero Optim」を用いた自動車・自転車用風洞試験施設「風洞試験センター」を静岡県沼津市で展開する予定だと発表しました。法人や研究機関のみならず、個人など一般の利用も可能だといいます。

　風洞試験といえば、クルマなどの開発の際に、空気の流れを作り、空力性能を測る実験として知られていますが、一般利用が可能な施設とはどのようなものなのでしょうか、

　日本風洞製作所は、2016年創業の風力発電や風洞試験装置を製造するメーカー。コンパクトな風洞試験システム「Aero Optim」を手掛けており、2022年1月にはカスタムカーイベント「オートサロン2022」にも出展しました。

　風洞試験装置は、整った気流を生み出し、空気抵抗や流れの観察をするために活躍する試験装置で、乗り物の開発やスポーツ、航空宇宙産業など、流体が関わる多くの分野で活用されています。

　ですが、従来型の風洞装置は大型・高価・高維持費・高い稼働率により、一部の大手メーカーや研究機関などしか使えないような特別な施設でした。

　その点、Aero Optimは、この風洞装置をできるだけ小型・低価格化させ、できるだけ多くのユーザーが気軽に風洞実験ができることを目指して開発されています。

　小型ながら、ある程度整った直進性の高い気流を生み出せることが特徴で、従来型風洞施設とも相関のある実験結果を得ることが可能です。

　今回日本風洞製作所が発表したのが、このAero Optimを利用した風洞実験施設「風洞試験センター」です。

　この施設には日本風洞製作所が開発した自転車用測定システム（自社開発）と、株式会社ニシヤマおよび大和製衡株式会社と共同で開発した自動車用測定システムが配備され、自転車やクルマの風洞実験が可能となります。

　Aero Optimを購入検討ユーザーに向け製品のトライアルが可能なほか、一般企業や個人も有償で利用が可能な施設となっています。

　同社は「一般の方でも利用できる自動車・自転車用風洞は日本で初めて」とリリース内で公表しています。

　この施設について日本風洞製作所代表取締役「ローンジョシュア」氏は以下のようにコメントしています。

「本施設の実現により、弊社は理念である『風洞の民主化』にまた一歩近づくことができました。多くの皆様にご利用いただき、風洞実験の有効性を実感していただければ何よりです」

　風洞試験センターは、静岡県沼津市に2023年初頭に設立される予定です。

　一般にはあまり馴染みのない風洞実験ですが、どのような企業や団体、また個人ユーザーが利用するのか、今後の動向が注目されます。