新型「シエンタ」はタクシー車両になる!? 専用車「JPN TAXI」普及の裏でもじわじわ増えるシエンタタクシーの謎

急速に普及が進むトヨタのタクシー専用車両「JPN TAXI(ジャパンタクシー)」と同等サイズの「シエンタ」も、タクシー車両に採用されるケースが増えています。その理由について探ります。

「JPN TAXI(ジャパンタクシー)」ではなく「シエンタ」を選ぶ理由とは

 東京オリンピック2020を機に、首都圏を中心に急速な普及を遂げたトヨタのタクシー専用車両「JPN TAXI(ジャパンタクシー)」ですが、そのいっぽうで同等サイズの「シエンタ」(先代モデル)のタクシー車両もちらほらと見かけるようになりました。

 その理由は一体どこにあるのでしょう。そして2022年8月にフルモデルチェンジした新型シエンタも、タクシー車両となる可能性はあるのでしょうか。

東京オリンピック2020のタイミングで急速に台数を増やしたトヨタのタクシー専用車両「JPN TAXI(ジャパンタクシー)」は先代(2代目)「シエンタ」ハイブリッドモデルがベースとなっている[(左)先代「シエンタ」/(右)「JPN TAXI」]
東京オリンピック2020のタイミングで急速に台数を増やしたトヨタのタクシー専用車両「JPN TAXI(ジャパンタクシー)」は先代(2代目)「シエンタ」ハイブリッドモデルがベースとなっている[(左)先代「シエンタ」/(右)「JPN TAXI」]

 2017年にトヨタが鳴り物入りで登場させたJPN TAXI(ジャパンタクシー)は、その車名から分かるようにタクシーとして使われることを前提とした車種であり、それまで販売されていたタクシー向けセダン車「クラウンコンフォート」や「コンフォート」などの実質的な後継車種となっています。

 そんなJPN TAXI、特に首都圏では東京オリンピックを機にだいぶ普及が進み、日常的に見かけることも珍しくない状態となっています。

 実際に(乗客として)乗ってみても、乗り降りのしやすいスライドドアや背の高いボディによる広い室内空間、サーキュレーターやシートヒーター(グレード別装備)を備える快適性など、さすがはタクシーになるために開発されたモデルといったところでしょう。

 しかし、その一方でジワジワと見かける機会が増えてきているのが、同じくトヨタのコンパクトサイズのスライドドア車である先代(2代目)「シエンタ」のタクシー車両です。

 そもそもJPN TAXIは先代シエンタ(ハイブリッド車)のプラットホームを流用して誕生したモデルとなっており、実質的なクルマの成り立ちは似通っているという特徴があります。

 JPN TAXIはベーシックグレードの「和(なごみ)」でも330万円超となかなかのお値段ですが、2代目シエンタはハイブリッドモデルの最上級グレードでもおよそ250万円と圧倒的に安価となっているため、初期投資を抑えたいという法人ユーザーが選択しているとのこと。

 2018年9月に実施されたシエンタのマイナーチェンジで、新たにJPN TAXIと同じ2列シート5人乗り仕様の「ファンベース」が登場したことも、シエンタをベースにタクシーを作るうえで追い風になったと言われています。

 ただ、年間5万kmから10万kmも走行すると言われるタクシーは、燃料代もバカになりません。

 JPN TAXIはランニングコストの安いLPガスを使用したハイブリッド車となっていますが、シエンタは当然ガソリンエンジンのハイブリッド車となっており、LPガス仕様はラインナップされていません。

 しかし、こういった車両をLPガスとガソリンのハイブリッド仕様(バイフューエル仕様)に改造する業者が存在しています。

 シエンタをベースに改造を施してもなお、1台あたりの価格はJPN TAXIよりも安いということで、シエンタが選ばれているという理由があるんだとか。

 ちなみにLPガス車はガスを貯蔵しておくボンベの定期的な検査が義務付けられており、当然検査には費用が必要となります。

 そのため、タクシーのように距離を走る車両でないと、LPガス車への改造のメリットは薄いかもしれません。

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