もはや「懐かしい」? ちょっと前の車にはついていた「オーバードライブスイッチ」って何? どうして今のクルマでは少なくなったのか
現在のクルマには少なくなってきた「オーバードライブスイッチ」。オーバードライブ機能を有効にするためのものですが、そもそもこのオーバードライブ機能はどのような目的で存在するのでしょうか。オーバードライブ機能の仕組みから使い方、注意点について解説します。
ちょっと昔の車にはついていた! オーバードライブスイッチってなに?
AT(オートマチックトランスミッション)車のほとんどが4速や5速といった有段式が主流だった時代のクルマには、フロアシフトレバー脇やコラムシフトレバーにオーバードライブスイッチを持つモデルが多くありました。
このスイッチを使用しなくても特に困らないため使ったことがない人や、そもそもクルマのオーバードライブ機能について詳しく知らないといった人も多いのではないでしょうか。
オーバードライブというのは、トランスミッションの変速比1.000を下回る巡航用の低いギア、いわゆるオーバードライブギア(オーバートップギア)の事を表します。
4速が変速比1.000となる5速AT車であれば、5速がオーバードライブとなり、高速巡航などはオーバードライブギアを使用して走ることになります。
通常はオーバードライブスイッチがオンの状態となっており、1速〜5速まで使用した変速制御をクルマ側が自動でおこないます。
そしてシフトレバー付近にあるスイッチを押すと、ONの状態がOFFとなり任意的に「オーバードライブギアを使用しない」と設定できるようになります。
5速AT車であれば、1速〜4速の範囲で変速を行う状態になります。
ではどのような状況でオーバードライブスイッチを「オフ」にするのでしょうか。
想定される状況の1つとしては、下り坂が連続して続きブレーキを頻繁に使用してしまう場合です。
オーバードライブギア使用のままではエンジンブレーキによる減速が不足し、フットブレーキ側が熱を持ち過ぎることによるフェードやベーパーロック現象などを起こしてしまい、減速できなくなる危険があります。
オーバードライブをオフにしておけば、AT車であってもエンジンブレーキによる減速がしやすくなり、フットブレーキの負担を低減させることができます。
ただしきつい急坂が続くような山道の場合、オーバードライブをオフにするだけではエンジンブレーキの減速力が十分ではありません。より低いギア(「2」レンジなど)を選ぶ必要があります。
また、積雪路や非舗装路といった滑りやすい路面を走る場合にもオーバードライブ機能のオフは有効です。
滑りやすい路面では、フットブレーキによる減速をしようとするとスリップの危険が増すため、オーバードライブをオフにしてエンジンブレーキ中心の減速をするとスムーズな走行になります。
さらに、急坂の登坂時や人や荷物の積載量が多い場合も有効です。
登坂時や積載時は力強さが必要となるため、加速力の増す下段ギアを使用した方が良くなります。
AT車にはキックダウン機能があるため、オーバードライブスイッチがオンのままでも下段ギアへ変速できますが、少しアクセルを緩めたりしているとシフトアップされていき再加速が鈍くなったり都度キックダウンすることになります。
あらかじめOFFにしておけば、下段ギア中心の走りとなり、再加速のモタつき感を低減させることができます。
一方でオーバードライブを「オフ」にしない方が良いこと状況も存在します。
平坦路の道を走行している時や郊外路、高速道路などを一定速度で巡航する時です。
平坦路では、登坂時のような負荷もありませんし、下り坂のように強いエンジンブレーキが求められることもありません。
このような状況でOFFにしてしまうとエンジン回転数が高いまま走ることになり、騒音となることや燃費悪化にも繋がり経済的、環境的にも効率的とは言えません。
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