「格安車検」なぜ早くて安い? 金額だけで選んではいけない「車検」の実態とは?
「早い」「安い」が魅力でも実は何もしていない!?
格安車検の安さのカラクリが見えてきましたが、車検の検査場でおこなう検査項目をひと通りチェックはしてくれますが、今後トラブルにつながるかもしれない箇所があっても、とりあえず何も手を加えないというのが実態のようです。
「1か月前にオイル交換したばかりとかタイヤを新調したばかりで、クルマのコンディションに自信がある人は格安車検でも良いと思いますが、タイヤのチェックも溝の残量(1.6mm)があるか、ヒビがないかを確認するのみ。
ブレーキなどはパッド残量が3mmしかなくても一切ノータッチですし、バッテリーの電圧が下がっていても、エンジンブロックからオイルが滲んでいてもスルー。
これでは実際のクルマのコンディションが良いのか悪いのかの判断もしていないと同じようなものです」(F整備士)
ただし格安車検も状況によってはメリットもあります。
たとえば、乗り換え予定ながらも目ぼしいクルマが見つからない、新車の納期が遅れているなどで、次に乗るクルマが決まる前に車検が切れてしまうケースや、単純に費用が捻出しにくい場合などは有効でしょう。
それでも後日、きちんと整備はしておきたいところです。
では、車検を通す以外で何をすべきなのでしょうか。やはり点検整備は必要なのでしょうか。
「『法定点検』として、12か月点検、24か月点検がありますが、実情は法定点検しなくても取り締まりの対象になることはないようです。
一方、車検が切れた状態で公道を走行した場合は、違反点数が6点+6か月以下の懲役または30万円以下の罰金とかなり重い行政処分となります」(F整備士)
この法定点検は、タクシーやバス、トラックなどのはたらくクルマは法定6か月点検が義務付けられており、検査項目は22項目あるのだそうです。
「自家用車の12か月点検では26の検査項目ですが、24か月点検では56項目もあります。クルマを安全に走らせるためには、それだけの検査とメンテナンスが必要ということなんです」
法定12か月点検では制動装置(ブレーキペダルの操作やパッドの残量、ブレーキホースの漏れの有無など)の点検・整備、動力装置(エンジンやトランスミッション、トランスファーなどの油量チェックや漏れの有無、ファンベルトやパワステの緩みや損傷の有無)の点検・整備、電気系統(点火プラグやバッテリーのターミナル接続状況)の確認、走行装置(タイヤ残量やヒビ割れの有無、ナットやボルトの緩み具合)の点検に加え、プロペラシャフトやドライブシャフト、マフラー、ヘッドライトなどの灯火類の点灯状況、ワイパーの作動状況の確認などを検査します。
24か月点検になると、上記に加えて緩衝装置(サスペンションの取り付けや連結部のガタつきの有無、ショック類の油漏れや損傷)の確認、原動機(排ガスや一酸化炭素濃度、エアーエレメント、冷却水の漏れ)の点検、さらにはエンジンオイルやブレーキフルードの残量や劣化具合の確認なども加わってきます。
「とくに油脂類はタイミング的にも交換を前提にチェックしてもらうほうが良いでしょう。
またブレーキ関係もパッドの残量だけでなくブレーキフルードやペダルの操作なども点検してもらえば、より安心して走らせることができると思います」(F整備士)
最近の半導体・パーツの素材不足で、修理したくても必要なパーツが入手できないこともあります。そうなる前に保安基準に適合した部品をできるうちに交換することで、大きな故障を未然に防ぐ効果も期待できそうです。
「足回りやエンジンなど走らせるうえで重要な部分はしっかりメンテナンスしてもらうほうが、圧倒的にトラブルの発生が少なくできるでしょう」(F整備士)
※ ※ ※
「販売店や整備工場に車検を依頼したほうが良い」というわけではありませんが、やはり素人やマニアがチェックするのは限界があるもの。その点プロにお任せすれば、自分では気付かなかったトラブルも回避できるケースは多そうです。
車検は安く済ませたいものですが、トラブルを回避して結果的に維持費を安く済ませるためにも、その都度自分に最適な車検取得方法を選択するのが良いでしょう。
コメント
本コメント欄は、記事に対して個々人の意見や考えを述べたり、ユーザー同士での健全な意見交換を目的としております。マナーや法令・プライバシーに配慮をしコメントするようにお願いいたします。 なお、不適切な内容や表現であると判断した投稿は削除する場合がございます。