「格安車検」なぜ早くて安い? 金額だけで選んではいけない「車検」の実態とは?
クルマを保有し、公道を走行するうえで避けては通れないのが「車検」です。ディーラーなどに依頼して車検の取得代行をお願いする方法が一般的ですが、最近は安い費用で済む「格安車検」などが人気になっています。
「格安車検」の内容は「ユーザー車検」と一緒?
クルマを保有し公道で運転するためには「車検」が必要です。普通車であれば、新車登録から3年、その後は2年ごとに「保安適合基準」と呼ばれる公道を走行するうえで問題がないかを審査し、合格すると車検証が発行されます。
この車検を受けるためには、各地域の陸運局の検査場に実際にクルマを持ち込み、灯火装置(ライトなど)、タイヤの残量、窓の傷の有無、保安基準が定められている内装の装備類、メーターに表示される警告灯での異常の有無などが検査され、販売店や整備工場などに取得代行をお願いするのが一般的です。
そんななか、規制緩和によって約20年前から「ユーザー車検」という制度が誕生。クルマの所有者である「ユーザー」が自ら試験場に車両を持ち込み、検査を受け車検を取得するというものです。これにともない、手数料を安価に設定した「格安車検」も増えており、人気になっています。
しかしこの格安車検はのちに故障やトラブルへと発展するケースが多いといいます。それは一体どういうことなのでしょうか。
とくに国産車は故障が少なく、よほどひどい使い方をしなければどんな状況でもエンジンはかかり、エアコンもバッチリ効きます。
これは、日本の風土に合わせた国産自動車メーカーの努力の賜物ともいえ、多少オイルが古くても、タイヤの溝が減っていても動いてしまうのです。
にもかかわらず、ディーラーなどの販売店に車検を依頼すると、消耗品を交換したり整備点検という名目で余分にお金を取られている気がしてしまうのですが、でも実は、この故障前の整備・交換こそが突然の不具合を未然に防ぐ最大の対処法なのです。
一方で、車検にお金をかけたくないけど、自分で車検を通す手間も時間もない人にとっては、費用をグッと抑えられる格安車検はメリットが大きいのですが、ここにいくつもの落とし穴があるようです。そのあたりを、埼玉県で整備工場を経営するF整備士に聞いてみました。
「最短〇〇分の格安車検という文字をよく目にしますし、ユーザー車検のほうがお得という意見もあります。
格安車検は基本的に法定諸費用と陸運局での手続き費用と印紙代程度で済むので、車検を通すだけでしたら早くて安いほうが断然良いでしょう」
それでは、なぜ販売店や整備工場での車検は高くなってしまうのでしょうか。
「販売店や整備工場の車検は、整備費用や消耗品の交換費用が含まれています。
格安車検のように車検を通すだけではなく、不具合が出ないように予防的措置でメンテナンスしているからこその金額なんです」(F整備士)
実際、車検証の裏に記載されている約款には、要約すると「現状では保安基準をクリアしているけど、次の車検(2年)までの安全性を保証するものではありません」とけっこう恐ろしいことが書かれています。
「近年は1台の保有年数が伸びています。つまり、劣化した状態のままで走り続けることも可能ということです。
オーナーは、自発的に定期的なメンテや消耗品の交換をしないといけないということなんです」(F整備士)
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