ハイブリッド車用モーターに、レアアース不使用磁石を世界初採用
大同特殊鋼とホンダが、ハイブリッド車用駆動モーターに使用できる重希土類不使用のネオジム磁石を世界で初めて実用化。2016年秋発表予定のホンダ「FREED」に採用します。
レアアースの制約から脱却、資源リスク回避へ
大同特殊鋼とホンダは2016年7月12日(火)、ハイブリッド車用駆動モーターに使用できる重希土類不使用のネオジム磁石を世界で初めて実用化し、今秋発表予定の新型ミニバン「FREED(フリード)」に採用すると発表しました。
ハイブリッド車など電動車の駆動モーターには、強力な磁力を有するネオジム磁石が使われています。ネオジム磁石はハイブリッド車では高温環境下で使用されるため、高い耐熱性が必要になりますが、これを確保するために従来は「ジスプロシウム」や「テルビウム」といった重希土類元素が使われてきました。
希土類は「レアアース」とも呼ばれており、軽希土類、中希土類、重希土類に分類されます。2社によると重希土類元素は、有力鉱床が世界的に遍在しており、また希少金属(レアメタル)にも分類されることから、安定調達や材料コストの面でリスクがあるとのこと。
実際、2010(平成22)年の尖閣諸島中国漁船衝突事件後には、中国政府がレアアースの事実上の対日輸出規制を行い、調達リスクが顕在化。その後日本では、レアアースに依存しない製品や、レアアースのリサイクル技術の開発を加速させています。
今回の新技術もその流れによるものです。従来、ハイブリッド車用の駆動モーターにはレアアースが欠かせない素材でしたが、新技術が実用化されたことで、課題であった重希土類元素の制約から脱却し、資源リスクを回避、調達ルートの多様化も図ることが可能になりました。
ホンダは、大同特殊鋼が実用化した新しいネオジム磁石に対応するモーターを設計。磁石形状に加えてローター形状も見直し、磁石にかかる磁束の流れを最適化することで、ハイブリッド車用駆動モーターに採用可能とし、トルク、出力、耐熱性において、従来のものと同等の性能を達成しているといいます。
ホンダは今後の展望として、今秋発表予定の新型「FREED」に搭載するハイブリッドシステム「SPORT HYBRID(スポーツハイブリッド) i-DCD」に、このネオジム磁石を採用するとともに、順次、新型車に適用を拡大していくとしています。
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提供:乗りものニュース