名古屋バス事故で改めて考える「ドライバー異常時のリスク」! 「緊急停止」技術の実用化も進む
「ドライバー異常時対応システム」が義務化される時代もそう遠くはない!?
一方、国土交通省は2022年1月7日に「リスク軽減機能(ドライバー異常時対応システム)の要件の導入」として、道路運送車両の保安基準の一部改正について、商用の法令等の整備を行うと発表しました。
これは、諸外国が参加している国連規則による保安基準を日本の保安基準に反映されることで、ドライバー異常時の対応システムを義務化することを意味します。
国土交通省の表記では、「運転者が無反応状態になった場合に、自動で安全に停止や操舵する緊急機能を備える自動車(二輪自動車及び特殊な自動車を除く)」としています。
作動(要件)例としては、同一車線での停止の場合は以下のとおりです。
1.運転者をモニタリングして運転者の状態を検知(手動作動開始も可)
2.運転者に警報を発報(少なくとも作動開始5秒前)
3.運転者の介入がない場合車両を減速して停止(減速度=4m/s2 「sの二乗」以下)。
さらに車線変更機能付きでは、以下の機能が追加されます。
4.車線変更先の車線の安全が確認された場合の車線変更(周辺検知機能装備)
5.車線変更完了後、道路脇に停止(方向指示器とハザードの切り替え)
バスについては追加要件として、手動のボタンがある場合、機能が作動していることを乗員に対して表示すること、また作動開始前に乗員に対して聴覚及び視覚により警報すること、としています。
こうした保安基準が適用されるのは、新型車では2023年9月1日から、またすでに生産されているモデルは2025年9月1日からとなります。
ドライバー異常時対応システムをより有効に活用するためには、デジタル技術の活用も考えられます。
例えば、ドライバー異常時対応システムが作動したクルマの情報が通信システムによってクラウドで集約・解析され、その周囲を走行するクルマに対して注意喚起を行うことが必要でしょう。
また、119番通報のみならず道路管理者の道路管制システムと連動して、徐行または通行止めなどの措置が早期に実施されることも望まれます。
実際、今回の名古屋高速でのバス横転事故では、事故発生からしばらく経過した後に火の勢いがかなり大きくなり、車内の何らかの物が爆発した様子がSNSを通じて拡散していることからも、道路封鎖のタイミングがかなり遅かったことが分かります。
一般的に高速道路の監視カメラは、事故多発地点や渋滞多発地点などを中心に設置されている場合が多いため、今回のインターチェンジでの惨事を交通管理者が認識するのに、一定の時間がかかったのだと推測されます。
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今後の可能性としては、走行するクルマの車載カメラの情報を基に、道路管理者が危機管理するシステムも考えられるでしょう。
すでに海外では、走行する多数の車載カメラ情報から地図生成を行うシステムが量産レベルに達しており、そこに危機管理をAI(人工知能)で認知する機能が加わることも想定されます。
こうしたさまざまなデジタル技術によって、ドライバー異常時対応のみならず、交通における”もしもの場合の対応”が高度化することが望まれます。
Writer: 桃田健史
ジャーナリスト。量産車の研究開発、自動車競技など、自動車産業界にこれまで約40年間かかわる。
IT、環境分野を含めて、世界各地で定常的に取材を続ける。
経済メディア、自動車系メディアでの各種連載、テレビやネットでの社会情勢についての解説、自動車レース番組の解説など。
デッドマンスイッチにして、電動車ならワンペダルで解決できるし、今の車でもATだと自動運転で飛び出しで急ブレーキの反応ができるわけで、アクセルに一定時間負荷がかからなければブレーキを掛ければいいんじゃないの?
それも下りとかだと意図的にアクセルを踏まないこともあるわけで、一定時間ごとにブレーキを強くするとかすればいいし、効かせ方そのものには十分な試験は必要だが、システムそのものはそれほど難しくない時代になってきているのでは?