最強タイプは「黒かまぼこ型」!? 「移動式オービス」ってどんなもの? 運用されている全種類の特徴

LSM-300に続いて登場した「最強のオービス」

 ところがそれから3か月後に、岐阜県警がMSSSという三脚に黒色でかまぼこ型の本体を載せたオービス導入を発表しました。

 MSSSは冒頭のSSSと同じくセンシス製です。速度計測にはレーザーではなく新Kバンドのレーダーを用います。ストロボと本体を別々の三脚にセットするのですが、オービスに詳しい人たちは口をそろえて「最強のオービス」と言っています。

 例えば300km/hで走るクルマも鮮明なカラー写真で撮影できますし、通常のオービスはある一点で速度を計測し記録しますが、MSSSは計測区間内であれば片側3車線道路で3台が並走していても、それぞれの速度変化を全て記録しているようです。

 交通裁判に詳しい人が言うには、仮に裁判になった場合にこのデータに基づく証拠を覆すことはほぼ不可能だと教えてくれました。それにコンパクトな黒色の本体は昼夜ともに目立たない上、雨天や濃霧でも運用できます。さらに本来はレーダー方式が苦手とするトンネル内での目撃もありました。

可搬式オービスMSSS(画像:オービスガイド)
可搬式オービスMSSS(画像:オービスガイド)

 このMSSSは、北海道、山形県、茨城県、埼玉県、千葉県、岐阜県、山口県、香川県で目撃されています。新聞記事によるとMSSSを導入した千葉県警では、速度超過違反の取締り件数が導入前より6倍以上に増えたようです。

 ただし現在、このMSSSを導入している地域は少数派で、多くの都府県では東京航空計器の製品を導入しています。ちなみに埼玉県と岐阜県はMSSSとLSM-300の両方を運用しています。

 またLSM-300はその後継機であるLSM-310も登場。本体が2分割できて設置しやすくなったり、撮影写真がカラーになったりと、利便性や性能が向上しているようです。余談ですが、東京航空計器の可搬式オービス用の三脚はマンフロット製で、センシスMSSSの三脚はジッツオ製のようです。

半固定式オービスの運用が減ってきた?

 最近、ロボットのような半可搬式オービスの情報をあまり目にしなくなってきました。

 個人的には高速道路のラバーポールで囲まれたゼブラゾーンなどに設置する場合、この半固定式オービスはとても有効と思っていました。巨大な土台内には大型のバッテリーが搭載されていて、数日間無人での運用が可能なはずです。それがあまり活用さていないのは、おそらく運搬の大変さなどに原因があるのかもしれません。

 何度か半可搬式の撤去を見学したことがありますが、いつも4人くらいの警察官がハンドパレットトラックを使い、駐車場のトラックの後ろまで慎重に移動して、それから電動リアゲートでトラックに積み込み荷台に固定します。撤収するだけで20分以上かけているので、設置も調整作業などを含めるとそれ以上時間がかかると思われます。

 三脚の可搬式オービスの場合は、警察官2人で2機を上下線で同時運用していることがあり、移動の手間や効率、それに設置場所の自由度を考えると可搬式に分がありそうです。また高速道路では、最近登場した半固定式オービスも関係しているのかもしれません。

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