1戦毎に「進化」も…「油断」は禁物!? 真夏の九州でガチンコ勝負! GR86とSUBARU BRZの明暗はいかに
勝負は最後までわからない…GR86とSUBARU BRZ…それぞれの結果はいかに
14時30分、今度はBRZが緊急ピットイン。実は井口選手に交代後、「クラッチが切れない」というトラブルが起きていました。
井口選手はクラッチを使わず回転を合わせてシフト操作をおこないながら走行していましたが、ORC ROOKIE GR86 CNF Conceptのトラブルを聞いてピットに入ったそうです。
マシンはガレージに運ばれチェックをおこない、クラッチフルードのエア抜きを実施。このタイミングで井口選手から廣田光一選手にドライバーチェンジしてピットアウト。
約4分30秒のロスとなりましたが、順位は変わらず。
Team SDA Engineering BRZ CNF Conceptがピットアウトしてから10分後、ORC ROOKIE GR86 CNF Conceptはエンジンを再始動させて問題ないことを確認して再びコースイン。ここから約30分のロスを挽回……と思った矢先に先ほどの症状が再発。
豊田選手はピットに戻れないと判断し、1コーナーのランオフエリアにクルマをストップ。チームはリタイアを選択しました。原因は燃料ポンプのヒューズ切れでした。
その後、Team SDA Engineering BRZ CNF Conceptは111周目に廣田選手から山内選手にドライバーを交代。終盤強い雨が降り始めたものの安定したタイムで走り続け、16時のチェッカーを受けました。
序盤はガチンコでいい戦いをしていましたが、途中で運命が大きく分かれた2台。
まずは最後まで走り切ったTeam SDA Engineering BRZ CNF Conceptの本井氏に感想を聞きました。
「途中までは非常に順調で、燃費戦略も当たりオーバーテイクもできましたが、想定外のトラブルが起きてしまいました。
結果として勝つことができたものの、『これもレースだな……』というのが本音です。
ただ、マシンもチームもいい方向に進んでおり、ドライバーからの要求レベルも上がってきています。
次は完璧なレースができるように、もっといいクルマに仕上げてきます」
続いて、初のリタイヤとなってしまったORC ROOKIE GR86 CNF Conceptの藤原氏です。
「クルマの進化は走りに表れていたと思いますが、まだまだ甘いな……と。
アッパーマウントの緩みも燃料系も以前のレースで発生していたことですが、真因を追求することなくここまで来てしまいました。
まだまだ土台固めがシッカリできていないことを改めて思い知らされました。
次戦(もてぎ)まで少し時間があります。
『レースに出るクルマを作る』ということに対して、一度総ざらいして見直しをおこなって挑みたいと思っています」
どちらも途中まではいい流れだったと思いますが、やはり一筋縄ではいかないのが、もっといいクルマづくりの面白い所であり難しいところです。
今回の結果で、Team SDA Engineeringが3勝/ORC ROOKIE Racingが1勝です。
スーパー耐久シリーズは全7戦なので、次戦(もてぎ)でORC ROOKIE Racingが勝たないとTeam SDA Engineeringの勝ち越しが決まります。
そういう意味では、次戦もてぎは大事な1戦となりそうです。
Writer: 山本シンヤ
自動車メーカー商品企画、チューニングメーカー開発を経て、自動車メディアの世界に転職。2013年に独立し、「造り手」と「使い手」の両方の想いを伝えるために「自動車研究家」を名乗って活動中。日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員。
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