1戦毎に「進化」も…「油断」は禁物!? 真夏の九州でガチンコ勝負! GR86とSUBARU BRZの明暗はいかに
スーパー耐久シリーズ第4戦オートポリスが開催されました。第3戦菅生ではGR86が欠場し、今回約2ヶ月ぶりのガチンコ勝負です。果たして、その結果はいかに。
第2戦富士以来のガチンコ勝負! 真夏のオートポリスはどうだった?
開幕戦を鈴鹿、第2戦は富士と続いた2022年のスーパー耐久シリーズ。
そして第3戦菅生から僅か3週間、第4戦はオートポリスでおこなわれる5時間耐久です。
カーボンニュートラル燃料を使って参戦するORC ROOKIE RacingとTeam SDA Engineeringはどのような戦いを繰り広げたのでしょうか。
ちなみにカーボンニュートラル燃料を使うGR86/SUBARU BRZは九州初上陸となります。
オートポリスは1周4.674km、高低差52m、最大登り勾配7.2%、最大下り勾配10%とアップダウンの激しいテクニカルなレイアウトで、どちらかといえばエンジン/シャシーを含めた基本性能の高さがラップタイムに表れやすいコースです。
第3戦菅生では、「クルマの根本を見直す必要がある」と参戦をスキップして車両改善をおこなったORC ROOKIE Racing GR86 CNF Concept。
見た目の変更点は冷却のためにダクトがプラスされたボンネット程度ですが、中身はどのようなアップデートがおこなわれているのでしょうか。
開発責任者の藤原裕也氏はこのように語っています。
「これまでの戦いで得た定量データや今までの積み重ねで把握したことを、一度立ち止まって検証しました。
それを元に自分たちが目指した諸元に対して良し悪しを判断してアップデートに活かしています。
具体的にはブレースの追加(剛性バランス適正化)、スタビリンクの取り付け位置変更(ロールバランスの適正化)、ブレーキ変更(信頼性向上)をおこなっています。
加えて、データ収集で車両のさまざまな場所にセンサーをプラスしています」
レースに参戦する以上は、スタートできる状況にする必要があります。
ただし、走らせることに一生懸命になってしまうと、本来の目的から離れてしまうのも事実です。
そういう意味でORC ROOKIE Racing GR86 CNF Conceptは、対処療法である程度走れるクルマになっていたものの、それはチームが目指す「もっといいクルマ」ではないと。
その負のループから出るために、一度立ち止まったというわけです。
「我々のクルマはSUBARU BRZと比べると『一発の速さ』はあったかもしれませんが、『いいクルマか?』といわれると……。
今回はその部分に注力して『しっかり対話できる』、『みんなが乗ってわかりやすい』クルマを目指してきました。
仮に以前と同じタイムでも、数値には表れない部分……安心・信頼は全く違うはずです」(前出藤原氏)
一方、前回“速さ”に注力して大きな成長を遂げたTeam SDA Engineering BRZ CNF Conceptですが、今回はどのような進化がおこなわれたのでしょうか。本井雅人監督に聞いてみました。
「大きくは2つです。
1つは菅生で酷評だったエアコンで、風の通路の見直しでシッカリ冷えるようにしたのと、より緻密な専用制御を盛り込んでいます。
もう1つはシャシの見直しです。
菅生で良いセットが見つかりましたが、当初からいわれていたネガを解析していくと剛性が足りない部分が解ったので、各部の取り付け剛性を上げています」
実は第3戦菅生から投入されているカーボンボンネットは、SUBARUならではの新しい取り組みから生まれたアイテムだといいます。
「実はあれは弊社の航空部門で使用されなかった端材を再生して作られた物です。
もちろんSDG’Sの観点もありますが、『オールスバルで戦う』という意味合いもあります。
今回はコロナの問題で担当者は来ていないので、次戦(もてぎ)で詳細をちゃんと紹介する予定です」
そういえば、第3戦菅生にて、トラブル(車両ストップ)の原因となったハザードスイッチのカイゼンはどうなったのでしょうか。
「ハザードスイッチのレイアウトはそのままですが、ステアリングスイッチを活用して3回点滅できるような回路を追加しています」
このように、前回の大きな進化が良い方向に働いたことで、今回はその良さをさらに伸ばす熟成方向の進化というわけです。
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