「もしかして…警察車両?」 街中では激レア過ぎて目立つ! スズキコンパクトセダン「キザシ」とはなんだったのか
2009年にスズキから発売されたコンパクトセダンの「キザシ」。一部のマニアの間では「キザシを見たら覆面パトカー(警察車両)と思え」と呼ばれる存在となっています。そこにはどんな背景があるのでしょうか。
キザシを見たら覆面パトカー? その背景とは
スズキがかつて販売していたコンパクトセダンの「キザシ」。一見するとなんの変哲もないクルマですが、一部のマニアの間では「キザシを見たら覆面パトカー(警察車両)と思え」と呼ばれる存在となっています。
そこにはどんな背景があるのでしょうか。
2009年から2015年にかけてスズキから販売されていたキザシは、軽自動車やコンパクトカーがラインナップの中心を占めるスズキにとっては「フラッグシップ」にあたる存在として登場しました。
そんなキザシは、一部のマニアの間では「キザシを見たら覆面パトカー(警察車両)と思え」といわれています。キザシにはなぜそのようなイメージが定着しているのでしょうか。
そもそもキザシは、お世辞にも「街でよく見かけるクルマ」とはいえません。それもそのはず、約6年の間に日本国内で販売されたのは3500台あまりと、国産車としては極めて「レア」なモデルです。
キザシの販売が振るわなかった理由として、コンパクトセダンというカテゴリー自体が縮小していたことが挙げられます。
折しも、キザシが日本で販売されていた2010年代前半は、トヨタ「アクア」やホンダ「N-BOX」、「ヴェゼル」など、エポックメイキングなコンパクトモデルが多く登場した頃です。
そうしたなかで、旧態依然としたスタイルのセダンであるキザシは、ユーザーの心を惹く力は弱かったのかもしれません。
また、スズキが軽自動車のイメージが強かったことも、キザシにとっては向かい風となりました。
軽自動車を検討しているユーザーにとっては「割高なクルマ」、セダンを検討しているユーザーにとっては「軽自動車のようなクルマ」に見えてしまったことも販売不振の一因だったようです。
そこで、スズキが目を付けたのが警察への導入でした。ただ、警察車両の代表格であるパトカー(警ら車)ではなく、刑事などが捜査活動の際に乗車する捜査車両への導入を図りました。
その結果、2013年から2015年にかけて、全国の警察でキザシが導入されることになります。
キザシ導入の背景には、スズキの強みであるコストパフォーマンスの良さに加え、キザシが受注生産であったことを活かし、装備を変更した専用の「警察仕様車」を用意したこともプラスに働いたようです。
捜査車両として全国に配備されたキザシはおよそ1000台といわれ、キザシ全体の販売台数が約3500台ということを考えると、およそ4台に1台は捜査車両という計算になります。
例えば、トヨタ「クラウン」もパトカーをはじめとする警察車両に多く利用されていますが、日本全国のパトカーは覆面のものを含めても約1万台程度といわれています。
一方、過去のモデルも含めると全国では少なくとも数十万台のクラウンが存在していると推測されるため、割合からしても「クラウンを見たら警察車両と思え」とはなりません。
つまり、キザシにおける警察車両の割合は、そのほかのモデルに比べて圧倒的に高く、それが「キザシを見たらキザシを見たら覆面パトカー(警察車両)と思え」というイメージにつながっているようです。
前述のとおり、キザシの大部分は捜査車両としての導入であるため、基本的には交通違反の取り締まりなどはおこなっていません。
そのため、いわゆる「覆面パトカー」とはやや異なりますが、警察車両である可能性が高いことは間違いなさそうです。
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一説によると、捜査車両の選定には「目立ちすぎない」という点も重要のようです。たしかに目立つクルマは捜査に不向きであるため、クセのないデザインのキザシは適任といえそうです。
しかし、あまりに販売台数が少なかったために、一部のマニアにとってはむしろ目立つ存在となってしまっているのもまた、キザシを語るうえで欠かせないエピソードのひとつとなっています。
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