斬新ハンドルのレクサス「新型SUV」がめちゃ凄い! 新型「RZ 450e」体感で驚愕!

いよいよコースイン。 いざステアバイワイヤーを体感!

 僅かな操作でクルマが大きく反応するので、「1周目は様子見」とビビりながらの走行と思いましたが、コーナーを2~3つ超えると「あれっ、普通!!」と。

 一番の驚きはステアリングとタイヤは繋がっていないはずなのに「直結感」がノーマルステアリングより強いことです。

 凹凸やグリップの変化など路面からのフィードバックはシッカリ感じるのに不要な振動やガタは遮断されているので、むしろノーマルステアリングよりもスッキリ滑らかな操舵感です。

 語弊を恐れずにいうと、ステアフィールはノーマルのステアリングよりも高いレベルで、より信頼できるステア系です。

 ステアリングギア比は速度に応じて可変、低速はアジリティ重視、高速は安定性重視の設定ですが、その繋がりも自然で滑らかなのでどこで変わっているかは正直わかりませんでした。

 ドライブモードに合わせて操舵力/手ごたえが変化しますが、変化代が少ないのでノーマルモードで十分だと感じました。

 下山テストコースの途中に回りこむとRが厳しくなる複合コーナーがあります。

 だましのレイアウトのため普通のステアリングだと切り遅れや手アンダーが出がちですが、ここもステアリング持ち替えなしで、楽勝で駆け抜けることが可能です。

 タイヤのグリップもステアリングにシッカリ伝わってくるので不安要素はないのはもちろん、タイヤのグリップも限界ギリギリまで安心して使えるコントロール性の高さも印象的です。

 一方、高速コーナーは微舵のコントロールは難しいのかなと思いましたが、実際はその逆でむしろノーマルのステアリングよりも繊細にコントロールが可能でした。

 とくにRが大きな高速コーナーをジワーっと切りながら曲がっていくときの気持ちよさは歴代レクサス最良レベルといっていいでしょう。

 なぜ、デジタルなのにアナログよりも繊細なフィールが出せるのでしょうか。

 山口氏に話を聞くと次のように話しています。

「タイヤの切れ角をコントロールしているモーターの電気を使う量が横Gによって変わります。

 それをステアリングにフィードバックしてロードインフォメーションとして返しています。

 その辺りの作り込みは徹底して注力しましたが、それだけでなう、ステアバイヤ―を活かすe-TNGAの基本素性の良さやBEVの応答性の良さなども効いています」

従来のハンドルと異なる切れ角を実現する「ステアバイワイヤー」を搭載した新型「RZ」
従来のハンドルと異なる切れ角を実現する「ステアバイワイヤー」を搭載した新型「RZ」

 ハンドリングはノーマルステアリングのRZに乗ったときは、4輪駆動力制御「Direct4」を採用するも、どちらかといえば内燃機関から乗り比べても違和感のない乗り味に感じました。

 しかし、ステアバイワイヤーモデルはコーナリングの一連の流れの繋がりがより高いレベルでDIRECT4がより実感しやすい乗り味で、電動車らしさがより強い走りです。

 恐らく、電動化パワートレインの旨味がステアバイワイヤーで花開いたと分析しています。

 現時点では実用域は少しだけ慣れが必要ではあるものの、一度味わうとノーマルステアリングに戻れなくなる、それくらい完成度は高いです。

 実はステアバイワイヤーの試乗後にノーマルステアリングに乗り換えて走らせてみましたが、「こんなにステアリング回してしていたんだ……」と実感。個人的には“RZらしさ”をより高める武器のひとつだと感じました。

 ただひとつだけ心配なのは、「ES」のデジタルアウターミラーのように“一発屋”になってほしくないということです。

 そんな不安を山口氏に聞いてみると、「ステアバイワイヤーは電動車との親和性が高く、BEVだけでなくHEV/PHEVにも応用が可能です」と話してくれました。

 個人的にはNX/RXはもちろん、クロスオーバーに対してちょっと元気のない背の低いモデルにも水平展開してほしいと願っています。なぜなら、技術は普及してこそ意味があるのです。

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Writer: 山本シンヤ

自動車メーカー商品企画、チューニングメーカー開発を経て、自動車メディアの世界に転職。2013年に独立し、「造り手」と「使い手」の両方の想いを伝えるために「自動車研究家」を名乗って活動中。日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員。

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