三菱「パジェロ」40周年で人気再燃?「エボリューション」は高額化!? クロカン王者の中古が狙い目
RVブームを牽引したパジェロ
クロカン王者のパジェロには、どのようなモデルがあったのでしょうか。
1980年代初頭までクロカンといえば、三菱がノックダウン生産していた「ジープ」が有名でした。
そんななか、培った4WD技術を活かしたオリジナルモデルとして1982年に誕生したのがパジェロです。
トラック製造技術で定評ある堅牢なラダーフレームを採用し、トランスファーを介して前輪も駆動させるFRベースのパートタイム4WDシステムを搭載。
デビュー当時はまだ「RV(レジャービークル)」という言葉もなく、マルチパーパスなオフロード車として貨物登録(商用車として4ナンバー登録)のメタルトップバンとキャンバストップから歴史が始まりました。
それでも当初は月に数百台しか売れないクルマでしたが、好景気の波に乗り人々がアウトドアのレジャーにお金を使うようになったことで一気に注目度がアップ。
販売数も増加しましたが開発が遅れたこともあり、約9年ものモデルサイクルとなりました。
本格的なRVブームの真っ只中の1991年、パジェロは居住性や操縦安定性、動力性能といったすべてをアップグレードした2代目へと進化しました。
初代と同じくラダーフレームが採用され、ショートホイールベース版とロングホイール版をラインナップ。
さらにディーゼルエンジン、ガソリンエンジンと複数のパワーユニットを搭載し、オーバーフェンダーの有無や、さまざまなボディバリエーションなどの組み合わせで、最大30種類以上ものグレードが用意されていました。
さらに4WD技術も大幅に進化。フルタイム4WDから2WD(FR)への切り替えが容易で、さらにローギアード化もできるなどオフローダーに求められる性能を高いレベルで実現させた「スーパーセレクト4WD」機構を搭載。
ABSも搭載し、4輪すべてを最適に制御できる高性能さが受け入れられ、RVブームだけでなくスキーブームも重なって大ヒットしました。
1999年に3代目に進化したパジェロは、乗用車で一般的なモノコックボディを溶接したビルトインフレーム方式のセミモノコックボディを新たに採用。剛性と快適性、安全性をアップさせつつ、約100kgもの軽量化も実現しました。
パワーユニットは、ガソリンエンジンとディーゼルエンジンを搭載しましたが、ガソリンエンジンには当時の三菱で最新技術のひとつだった「GDI(直噴)」機構を採用しています。
また4WDシステムには、機械式から電動式へと進化させ、駆動配分を前後3:7から5:5まで振り分ける「スーパーセレクト4WD II」へと進化しています。
ただし、パジェロのアイデンティティであった丸目から大型のリフレクターを内蔵した四角形ヘッドライトのウケがイマイチだったのと、RVブームが終焉を迎えたことで、ハイパワーな大排気量エンジンと大型ボディは無用の長物扱い。時代は環境問題に注力するようになり、クロカン人気の衰退とともにパジェロ自体も存在意義を徐々に失ってしまいました。
3代目で採用された「ラダーフレーム・ビルトイン・モノコックボディ」や「スーパーセレクト4WD II」を継承し、2006年にフルモデルチェンジし4代目へと進化。
スタイリングは初代「アウトランダー」に通じるデザインとなりましたが、大ヒットした2代目を彷彿とさせるツートンボディも復刻させるなど、人気復活へとかなり力が入っている印象を受けます。
この4代目、デビュー当時の2種類のガソリンエンジンのみのラインナップでしたが、2010年にはクリーンディーゼルターボエンジンを追加しました。
また4WDシステムは「スーパーセレクト4WD II」を引き続き搭載。さらに急ハンドルや路面のスリップを検知しブレーキを個別に制御するASC(アクティブスタビリティコントルール)と、ぬかるんだ路面でもブレーキとエンジンの出力を自動制御するATC(アクティブトラクションコントルール)を組み合わせた「ASTC(アクティブスタビリティ&トラクションコントロール)」を搭載しています。
SUVの需要が高まっていることを受けて、一部改良と2度のマイナーチェンジを経てクロカンベースのSUVへと方針転換していましたが、ベースの無骨さが抜け切らなかったせいなのか思ったほどセールスが伸びませんでした。
また、三菱が置かれている状況、さらなるEVへの注力(開発費の集中)、新しい衝突安全基準への対応が難しいなどの判断から2019年で注文受付が終了。2021年に生産終了となり、39年の歴史に幕を降ろしました。
モノコックのパジェロはイラネ