クルマは「左に寄らない」とダメ? キープレフトはどんな時も必須? 寄るべき状況とは

自動車教習所で自動車免許取得の講習を受けた際、「道路では“キープレフト”をしなくてはいけない」と教わった人も多いでしょう。都心では、車線の左側を自転車や原付バイクが走行している様子が見られますが、キープレフトによって道を塞いでしまうことに法令上の問題はないでしょうか。

そもそもキープレフトって?法令上の決まりはどうなってる?

 自動車の運転免許を取得する際は、自動車教習所に通って講習を受けるのが一般的です。教習所での運転講習の際には、「道路では“キープレフト”をしなくてはいけない」と教わった人も多いでしょう。
 
 都心では、車線の左側を自転車や原付バイクが走行している様子が見られますが、キープレフトによって道を塞いでしまうことに法令上の問題はないでしょうか。

クルマの「左幅寄せ」。どのくらいの幅寄せが適切なのでしょうか
クルマの「左幅寄せ」。どのくらいの幅寄せが適切なのでしょうか

 そんなキープレフトは、ときに自転車や原付バイクの通行を妨げ、トラブルになっている事例もあるようです。この問題を考えるうえで重要なのが、キープレフトの定義についてです。

 キープレフトについて多くの運転者は「車線の左側をキープしながら走行すること」というイメージを持っている人が多いかもしれません。

 道路交通法では、第18条「左寄り通行等」ならびに、第20条「車両通行帯」において教習所で教わる“キープレフト”に関わる条文があります。

 第18条では「車両は、車両通行帯の設けられた道路を通行する場合を除き、自動車及び原動機付自転車にあっては道路の左側に寄って、軽車両にあっては道路の左側端に寄って、それぞれ当該道路を通行しなければならない」とされています。

 ここでは「車両通行帯の設けられた道路を通行する場合」は除かれているため、ここで規定されている道路は、郊外や生活道路などに多く見られる、通行帯が片側一車線のみの道路となります。

 18条の規定によって、通行帯が片側一車線しかない道路を走行する際には、基本的に道路の左側に寄った状態、すなわち、キープレフトで走行しなくてはいけません。

 また、第20条では「車両は、車両通行帯の設けられた道路においては、道路の左側端から数えて一番目の車両通行帯を通行しなければならない」とされており、走行する際に基本となるのがもっとも左側の通行帯であることを明記しています。

 ここでは、片側に複数の通行帯がある前提で条文が記載されており、前述した18条とは違うケースにおいての規定であることがわかります。20条の場合は、一般的に連想される“キープレフト”とは異なることがわかります。

 この18条と20条が混同した状態でキープレフトを意識してしまうと、通行帯複数ある道路において走行している場合でも、自車が走行している車線の左側ギリギリに寄らなくてはいけないという認識になるでしょう。

 ただ、実際には複数車線がある道路において、車線の左側ギリギリに寄って走行する必要はないため、間違った認識でクルマを運転してしまっていることになります。

 一方で、同法第34条「左折又は右折」には「車両は、左折するときは、あらかじめその前からできる限り道路の左側端に寄り」とされているため、左折をおこなう交差点の手前では、車線が複数ある道路においても、キープレフトを心がける必要があります。

 キープレフトにかかわる問題を考える前に、まずはこのようにキープレフトに関する正しい認識を持つことが重要です。

 走行する道路の通行帯の状況によって、キープレフトの考え方が異なることに留意しておきましょう。

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