デカい「ハコ」なのになぜ「ミニバン」と呼ぶ? 全長5m級トヨタ「アルファード」も「ミニ」と言われる事情とは
ミニバンの元祖はアメリカにあった!?
この謎を解くためには、「ミニバン」の歴史をひもとく必要がありそうです。
日本は世界でも有数のミニバン市場であるといわれていますが、現代的なミニバンが多く登場したのは、1990年代から2000年代にかけてのことでした。
1990年に登場したトヨタ「エスティマ」がブームの発端といわれ、その後は多くのミニバンが登場しました。
大人数乗車が可能なワゴン車という意味ではそれ以前にもありましたが、商用車をベースに乗車定員を増やした程度のものが多く、現在のようにひとつのカテゴリーを形成しているとまではいえませんでした。
ただ、日本国内におけるミニバンブームの背景には、アメリカの影響があったといわれています。
1980年代のアメリカでは、日本よりひと足早くミニバンブームが到来していました。
その先駆けとなったのが1983年に発売されたダッジ「キャラバン」です。
当時ダッジが属するクライスラーグループではFF車の開発を進めており、キャラバンは当時としては珍しいFFを採用したバンでした。
FFプラットフォームを採用していることもあり、キャラバンは全長4468mm×全幅1765mm×全高1636mmという当時のバンでは非常にコンパクトなサイズです。
その一方で、従来のバンと同等の7名乗車を可能としているという使い勝手の良さも大きな魅力でした。
その後、キャラバンの成功をうけて登場したシボレー「アストロ」は、日本国内にも多く輸入され、現在でも根強い人気を誇るモデルとなっています。
とくに、アストロをはじめとしたアメリカ製ミニバンは、架装メーカーによって豪華な内装を与えられたモデルも多く、クルマを部屋のように扱う傾向があるという日本市場のスタイルと非常にマッチしていたといわれています。
日本の基準で考えると、キャラバンやアストロは非常に大柄なボディを持っているように感じられますが、アメリカを基準とするとそれほど大きくはありません。
キャラバンやアストロが登場する以前のアメリカでは、バンと言えば全長5000mm×全幅2000mm×全高2000mmを超えるようなものがほとんどであり、あくまでたくさんの荷物や人を移動することを主眼に置かれたものばかりであったため、あまり快適なものではありませんでした。
しかし、キャラバンは乗用車としての快適性とバンとしての積載性を兼ね備えた「ちょうど良さ」がウリであり、従来の大きなバンと区別するためにも「ミニバン」と呼ばれるようになったのです。
ちなみに「ミニバン」という名称が定着したことで、アメリカにおける従来型の大きなバンは「フルサイズバン」と呼ばれることが一般的となりました。
つまり、「ミニバン」の「ミニ」とは、アメリカにおける「フルサイズバン」と比較して「ミニ」であるということのようです。
ただ、日本国内には「フルサイズバン」と呼べるものはほぼ存在しないため、やや混乱する形となってしまっているようです。
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一方で昨今の日本市場では、軽自動車、コンパクトカー、セダン、ステーションワゴン、SUVと並んだボディタイプのひとつとして「ミニバン」が定着しています。
そのため、日本ではボディサイズの大きさに関係なく「ミニバン」という呼び方で問題ないようです。
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