トヨタが「新車の紙カタログ」廃止へ 「スマートカタログ」に置き換え2023年3月目処に

それでも「紙」には価値がある?

 しかし、インターネット上での情報収集が定着している現在でも、紙カタログに愛着を持つユーザーも少なくないようです。

 クルマの販売における紙カタログの歴史は古く、東京都公文書館には1935年の「ダットサン」のカタログが保存されているほどです。

 その後、モータリゼーションの発展とともに、クルマのカタログもよりバラエティに富んだものとなり、その内容も豪華になっていきました。

 複数の販売店では「紙カタログを持って帰って自宅で見たいという要望も多いです」と話します。

 また「最近では新型車のティザー情報を正式発表前に出しますが、その際に簡易版の紙カタログ(パンフレット)を配布することで、ユーザーへの認知を図る販促を行うこともあります」(複数の販売店)。

 実際、トヨタ新型「ノア/ヴォクシー」やホンダ新型「ステップワゴン」では、正式発表前に簡易版の紙カタログが店頭で配布されていました。

 このように、新型車では紙カタログを依然として有効活用していることも少なくないようです。

日産の販売店で配布されている新型「フェアレディZ」の紙カタログは豪華な仕様となっている
日産の販売店で配布されている新型「フェアレディZ」の紙カタログは豪華な仕様となっている

 多くの人にとって、クルマは人生のなかでも高額な買い物のひとつであり、複数の候補をじっくりと検討しながら意中の1台を決めるということが一般的です。

 またクルマの紙カタログは、質感の高さや時代を反映するというその特徴から記念に保管しておくという人も多く、車種カタログ収集を趣味とする人も少なくないといいます。

 トヨタの「スマートカタログ」のようなデジタルツールを活用することのメリットも大きいため、今回トヨタの決定が他の自動車メーカー方針に今後どのような影響を与えるのか、注目されます。

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Writer: PeacockBlue K.K. 瓜生洋明

自動車系インターネット・メディア、大手IT企業、外資系出版社を経て、2017年にPeacock Blue K.K./株式会社ピーコックブルーを創業。グローバルな視点にもとづくビジネスコラムから人文科学の知識を活かしたオリジナルコラムまで、その守備範囲は多岐にわたる。

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