「新伊勢神トンネル」着工へ 国道153号の難所改良 現行の2代目トンネルが抱える課題とは?
国道153号の新伊勢神トンネル(仮称)が、いよいよ着工を迎えます。名古屋・豊田~飯田のルートに位置するこのルートの歴史と役割とは。
進む国道153号の伊勢神改良事業
国土交通省中部地方整備局名古屋国道事務所は2022年4月8日、国道153号で進めている伊勢神改良事業のうち、新伊勢神トンネル(仮称)の工事に着手すると発表しました。
国道153号は名古屋市を起点とし、愛知県の豊田市、長野県の飯田市、伊那市などを経て塩尻市に至る長さ約229kmの路線です。
豊田市内には標高780mの伊勢神峠がありますが、ここを通る道は古くから名古屋と飯田方面を結ぶ道であり、飯田街道や中馬街道、そして、三河湾で作られた塩を信州へ運ぶルートだったことから塩街道などと呼ばれています。
ちなみに「伊勢神」の名前は江戸時代末期、峠に設けられた伊勢神宮の遥拝所にちなむといいます。
この伊勢神峠では、明治時代の1897年、石巻造りの伊世賀美隧道(長さ308m、2000年に国の登録有形文化財に指定)が開通。
さらに1960年には、2代目となる現在の伊勢神トンネル(長さ1245m)が開通しました。
この伊勢神トンネルは、中央道の恵那山トンネルが危険物積載車両通行禁止であることから、その迂回路としても利用されています。
しかしトンネルは当時の基準で設計されており、現在では大型車のすれ違いが困難なほど狭い状況です。
また、トンネルの前後には急勾配や最小半径30mの急カーブが存在し、事故も発生しているといいます。
そこで、これらの課題を解消するため改良事業が進んでおり、その一環として3代目の新伊勢神トンネル(仮称)も建設される計画です。
新伊勢神トンネル(仮称)は長さ1901m。幅は2代目より1.6倍ほど広い10.5m、高さは1.4倍ほど高い6.2mです。2車線(片側1車線)、設計速度60km/hで造られます。
着工式は5月28日に開催される予定です。
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