ロシア制裁が「中古車市場」に影響!? 最大輸出先のロシア…今後の影響はいかに
下落傾向の中古車価格、現時点ではロシアの影響は軽微か
日本の中古車市場に目を向けると、2022年2月には過去最高となる100万6000円を記録した中古車平均落札価格も、3月には91万1000円に下落するなど落ち着きを見せています(USS調べ)。
こうした中古車価格下落の理由は、ロシアへの中古車輸出の停滞が大きいとする報道がありました。
中古車価格は、市場全体の需要と供給によって大きく変化することで知られていますが、これまでロシアへ輸出されていた中古車が日本国内へと残ったことにより、需要に対して供給が増えたことが、中古車価格の下落につながったという指摘です。
ただ、これは必ずしも正確とはいえません。
もちろん、一部の4WD車など、ロシアで需要の高い車種に限定して見れば、そうした影響もあるかもしれませんが、大局的に見れば季節要因の影響のほうが強いと考えられます。
中古車市場は、新生活に向けてクルマを手に入れる人が多いことなどから、例年3月が最大の需要期となります。
中古車販売店の視点では、2月のうちから積極的に仕入れを行うため、中古車販売業者向けである中古車オークションの平均落札価格は、2月にピークを迎えることは珍しくありません。
たしかに、3月の中古車平均落札価格は、2月から比べればやや下落しています。

ただ、2021年に比べればおよそ20%程度上昇しており、2020年以前と比べてもかなりの高水準にあります。
これには、コロナ禍によって「密」を避けられるクルマでの移動が再注目されたことに加え、近年では半導体不足などに起因した新車の納車遅れの影響から、比較的納車が早い中古車の需要が高まっているという背景があります。
スーパーカーや超高級車など、オーダーから納車まで年単位の時間を要することの多かったクルマに関しては、これまでも新車が納車されるまでの「足」として、中古車を購入することは珍しくありませんでした。
しかし、昨今のように、一般的な価格帯の量販車でもそうした事態が起こっていることは、まさに異例としかいいようがありません。
このように、日本の中古車市場におけるロシアの影響は、現時点ではそれほど大きくないと見られます。
しかし、逆にいえば、これから影響が出てくる可能性が高いことを意味しているともいえます。
加えて、半導体不足やそのほかの部品の供給不足もすぐに解消する見込みはないことから、当面の間は中古車価格の高止まりは避けられないと考えられます。
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中古車価格の高騰や新車の納車遅延、そしてガソリン価格の上昇など、ユーザーにとっては苦しい状況が続いています。
社会情勢の変化が大きい昨今、クルマに関しても、これまで以上に冷静かつ慎重な判断が求められています。
Writer: PeacockBlue K.K. 瓜生洋明
自動車系インターネット・メディア、大手IT企業、外資系出版社を経て、2017年にPeacock Blue K.K./株式会社ピーコックブルーを創業。グローバルな視点にもとづくビジネスコラムから人文科学の知識を活かしたオリジナルコラムまで、その守備範囲は多岐にわたる。
















