5ナンバー車「全幅1695mm」なぜ多い? 軽も全長&全幅が共通化 規格ギリギリになる背景
5ナンバー車の多くのモデルは、全幅が「1700mm以下」という規格ギリギリの1695mmですが、なぜなのでしょうか。
減りゆく5ナンバー車 全幅がギリギリ1695mmに設定される訳
最近は5ナンバー車が大幅に減っています。トヨタのミニバン「ノア」は、先代型の標準ボディは全幅が1695mmに収まる5ナンバー車でしたが、2022年1月に登場した新型は全車の全幅が1730mmに広がりました。
ホンダ「ステップワゴン」は、先代型(5代目)は5ナンバー車でしたが、2022年春発表・発売予定の新型は全車の全幅が1750mmまで拡大され、3ナンバー車になります。
3ナンバー車が増えた結果、ミニバンの5ナンバー車は、「シエンタ」「フリード」「NV200バネットワゴン」「セレナ」のみになりました。セレナも売れ筋は3ナンバーサイズのカスタム仕様「ハイウェイスター」なので、次期型は全車が3ナンバー車になるかもしれません。
セダンの5ナンバー車も継続生産型のトヨタ「カローラアクシオ」のみ。SUVはスズキ「クロスビー」「ジムニーシエラ」、ダイハツ「ロッキー」/トヨタ「ライズ」といったモデルに限られており、5ナンバー車を豊富に選べるのは、トヨタ「ヤリス」「アクア」、日産「ノート」、ホンダ「フィット」(「クロスター」グレードは3ナンバー)といったコンパクトカーだけです。
大幅に減っていく小型の5ナンバー車を見ると、ボディサイズの全幅は1695mmが圧倒的に多いことがわかります。
小型車(5ナンバー車)の規格では全幅を1700mm以下としているので、1695mmは若干の余裕を持たせたサイズです。
全長は、アクアが4050mm、フィットは3995mmという具合にさまざまですが、全幅はほぼ共通しています。それはなぜなのでしょうか。
全幅を1695mmに設定した5ナンバー車が圧倒的に多い直接の理由は、「5ナンバーサイズ」の範囲内で、全幅を可能な限りワイドにしたいからです。
この背景には、複数の事情があります。
まずは外観の見栄えです。全幅がワイドであれば、外観に視覚的な安定感が生まれてカッコ良く見えます。そこでなるべく全幅を広く設定したいのです。
室内幅の課題もあります。全幅を1695mmまで広げれば、5ナンバー車としては最大級の室内幅を確保できます。
最近は、側面衝突時の安全確保も関係しています。
ボディの強度を高めるために、ピラー(柱)やサイドシル(乗降時にまたぐ敷居の部分)などが厚みを増して室内幅が狭くなりがちなので、ますます全幅の確保が重要になります。
全長は以前と同じ4600mm以下に収まるのに、全幅が1700mmを超えて3ナンバーサイズになる車種が増えた背景にも、側面衝突時の安全確保があります。
全幅をなるべくワイドにしたい背景には、小回りの利きを向上させる狙いもあります。
小回りの利きは、全幅を狭くした方が良くなるように思えますが、逆になることも多く、全幅が広ければ、ボディの底面に位置する前後方向の基本骨格と前輪の間隔が広がり、前輪の最大舵角を拡大しやすいのです。
また、前輪が大きく切れると小回り性能が向上するため、全幅がワイドな方が有利になることも多いです。そこで5ナンバー車にする時でも、全幅を規格ギリギリの1695mmまで広げるのです。
もう一言書き込むと良いですね。例えば5ナンバー車の全幅サイズを、1700ミリ丁度に製造等すると。製造個体誤差で1700ミリを超える可能性が有る為、余裕を持たせて小さ目に製造等していますね。エンジン排気量等も同じ考え方。この場合の全幅サイズは、1696~1698ミリで製造等しても良い感じもしますが。・・
小型車の3ナンバー化(全幅1.7m超)は、今やその生産数が国内市場は1/3程になり、世界標準たる海外市場に重きを置いた設計しかできなくなったということが大きいだろう。また、ドイツなど、自動車先進国でも、ゴルフやBMW3シリーズなど、どれもモデルチェンジする都度拡幅化している。これは衝突安全基準としてのサイドインパクト(ポール)テストの評価基準が与えた影響は大きいだろう。なお、軽4メが作る小型車が1.7ギリでないのは、軽4との板金部品(ボデー内板骨格パネル)のなるべく共通化という問題が主たる背景にあるだろう。