1000万円超えの国産「最高級SUV」は何が進化? ランクルとは違う個性強調! レクサス新型「LX」の特徴はいかに
レクサスの最上級SUV「LX」はあらゆる面が進化したといいますが、実際に乗り込んで走り出すとその真価はわかるのでしょうか。
新型LXに乗ってわかった実力とは
2022年1月に国内発表された新型「LX」。歴代モデルから大きく変わったのはレクサスでの“立ち位置”です。
「ランクルの基本コンポーネントを使って開発」は歴代モデルと共通ですが、「流用」ではなく「活用」と考え方が異なります。
つまり、ランクルの武器を使って「レクサスの名に恥じない「フラッグシップSUV」を開発したというわけです。
今回、素の「LX600」、悪路走破性を高めた「OFFROAD」、そして最上級の「EXECUTIVE」の3グレードに、一般道、高速道路、ワインディング、そして富士スピードウェイ内に新たに造られたオフロードコースと、リアルワールドで試乗してきました。
いつものように試乗前に車両のチェックです。エクステリアはランクルの面影が残りますが、ドア以外の外板はすべてLX専用です。
先代よりもスタイリッシュなフォルムに進化していますが、伝統のホイールベース(2850mm)に対してEXECUTIVEの22インチタイヤ&ホイールの組み合わせは寸詰まりな印象。
個人的には素のLX600に標準の20インチがプロポーションとのバランスは良さそうに感じました。
ちなみにオフロードは18インチタイヤとヒカリ物を抑えた意匠ですが、アルミホイールのデザインが事務的なのが勿体ないです(実はランクルの色違い)。
インテリアは上部がインフォテイメント、下部が空調/AWD制御と機能を分けたツインディスプレイ仕様となるインパネセンターが特長です。
企画時にはNXのような大型ディスプレイも検討されたようですが、「灼熱/極寒地域でも確実に空調を効かせるために大型の吹き出し口が必要」、「悪路走行時にカメラとAWD制御を同時に表示させたい」など、LXならではさまざまな要件から、このようなレイアウトになったそうです。
これらに関しては概ね納得ですが、分割表示(ナビ+オーディオなど)ができないインフィテイメントディスプレイ、旧式のステアリングスイッチ/各種機能設定、大型センターコンソールにも関わらず縦置きのカップホルダー、サイズの大きなスマホに対応していない非接触充電器など、細部のツメの甘さは少々、いやかなり気になる所です。
フロントシートはTNGA世代のUX/NXと変わらない自然なシートポジションに先代からの進化を実感しますが、セカンドシートは足元スペースの拡大は嬉しいものの肝心なクッション/バックレストが平板な印象で快適性は“普通”といった印象でした。
6割以上のユーザーがこのモデルを選ぶことを考えると、もう少し頑張って欲しいと思います。
そういう意味では、後席を活用する人にはEXECUTIVEがお勧めです。リクライニング機能付のキャプテンシート(オットマン/マッサージ付き)は、最大48度のリクライニングと座面角度のコントローでNASAが推奨する“中立姿勢”を実現。
実際に座ってみましたが、振動吸収性の良さと優しく乗員を包み込む形状の専用シートの掛け心地の良さは、LSを遥かに超えるレベルでした。予算が許せば是非とも選んで欲しいです。
続いて、走りはどうだったでしょうか。
パワートレインは3.5リッターV型6気筒-ツインターボ(415ps/650Nm)+10速ATとハードその物はランクルと共通ですが、実際に走らせるとフィーリングは別物です。
具体的には自然な過給の立ち上がりと雑味のない滑らかなで伸びのある吹け上がり、さらにクルマが軽くなったと錯覚するくらいの応答性の高さです。
欲をいえば発進時にもう少し力強さが感じられるとバッチリなのですが、現状は滑らかなフィーリングを優先しているのか瞬発力は少々足りない印象です。
個人的にはドライブモード・ノーマルはそのままでいいですが、スポーツ/スポーツ+はより攻めたセットアップでもいいと思いました。
気になる燃費は往復で約200kmを走りましたが、オーバーオールで8-9km//L、高速道路のみだと12-13km/L(100-120km//L)と2.5トン近い巨体であることを踏まえるとかなり優秀な値です。
ちなみに先代はオーバーオールで5-6km/L、高速道路は超エコラン(80km/h前後)で9-10km/Lだったので、まさに雲泥の差といえるでしょう。
グリルデザイン、ここまで来ると虫の腹みたいでなんかイヤだな。
せめて縦にして。
いまや初老のガンダム世代にウケたガンダムデザインのように、平成ライダー世代なんかに受けが良いのだろうか。