まさにスポーツカーのための心臓! ツインターボエンジンの王道スポーツカー3選

シャープなウェッジのクーペボディに高性能なエンジンを搭載したスポーツカーは、まさに教科書どおりの存在です。なかでもネオクラシックと呼ばれる1980年代から1990年代に登場したスポーツカーには、ツインターボエンジンという至高のパワーユニットを搭載したモデルが多数存在。そこで、ツインターボエンジンの王道スポーツカーを、3車種ピックアップして紹介します。

ツインターボエンジンを搭載したネオクラシック・スポーツカーを振り返る

 クルマ好きだけでなく、だれもが見とれてしまうクルマといえばスポーツカーです。なかでも「これぞスポーツカー!」といえるのは、見るからに速そうなウェッジシェイプの2ドア(3ドア)クーペではないでしょうか。

ツインターボエンジンを搭載したネオクラシックな王道スポーツカーたち
ツインターボエンジンを搭載したネオクラシックな王道スポーツカーたち

 スポーツカーの定義は意外と曖昧で、ボディはクーペだけとは限りませんが、共通するのは高性能なエンジンと優れた足まわりによる、高い動力性能と運動性能を持っていることです。

 近年はニーズの変化から生粋のスポーツカーは少なくなってしまいましたが「ネオクラシック」と呼ばれる1980年代から1990年代に登場したクルマには、数多くのスポーツカーが含まれました。

 さらに、当時は「パワーこそ正義」という時代で、スポーツカーにふさわしい高出力のツインターボエンジンが次々と開発されました。

 そこで、ツインターボエンジンを搭載した王道であり至高のスポーツカーを、3車種ピックアップして紹介します。

●日産「Z32型 フェアレディZ」

美しいボディに280馬力を誇るツインターボエンジンを搭載した「Z32型 フェアレディZ」

 1989年の日本は、いわゆる「バブル景気」の絶頂期でしたが、同時に日本の自動車史に残る数多くの名車が誕生した年でもあります。そのなかの1台が日産4代目「フェアレディZ(Z32型)」です。

 外観は新たな時代の幕開けを告げるスポーツカーにふさわしく、それまでのフェアレディZのイメージから大きく転換を図り、全幅の拡大と低い全高によるロー&ワイドなスタンスのフォルムへと変貌。

 ボディサイズは全長4310mm×全幅1790mm×全高1250mm(2シーター)と、歴代初の3ナンバー専用ボディとなりました。

 全体のシルエットは、低いボンネットが印象的なウェッジシェイプで、柔らかな曲面で構成されたボディは歴代でも屈指の美しいスタイリングと評されています。

 エンジンは全車3リッターV型6気筒DOHCでトップグレードには新開発のツインターボ「VG30DETT型」が搭載され、国産車では史上最高となる最高出力280馬力を発揮しました。このZ32型フェアレディZがきっかけで、国産車は280馬力を上限とする馬力自主規制が始まり、2004年まで続くことになったのは有名な話でしょう。

 一方、高性能なのはエンジンだけでなく、サスペンションも新開発の前後マルチリンクを採用し、ターボモデルには「スーパーHICAS(電子制御式4WS)」を搭載。ブレーキにはアルミ製対向4ピストンブレーキキャリパーなど、当時の日産が誇る最新のシャシ技術が余すことなく投入されました。

 その後、Z32型フェアレディZは2000年に生産を終了し、2002年に登場した「Z33型」、2008年に登場した「Z34型」はどちらも自然吸気エンジンでしたが、2022年6月からデリバリーが始まる新型フェアレディZには、再びV型6気筒ツインターボエンジンが搭載されます。

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●マツダ(アンフィニ)「FD3S型 RX-7」

ツインターボロータリーエンジンを搭載した最後のピュアスポーツカーの「FD3S型 RX-7」

 マツダのラインナップからロータリーエンジン搭載車が消えて久しい状況ですが、最後の大出力ロータリーエンジン車であり、今も世界的に高い人気を誇っているのが「FD3S型 RX-7」です。

 1991年にアンフィニ・ブランドからデビューしたFD3S型 RX-7の外観は、ロングノーズ・ショートデッキのスタイリングや、ダブルバブルのルーフ、リトラクタブルヘッドライトといった古典的なスポーツカーの要素を取り入れつつ、空力性能を追求した最新のデザインコンセプトを融合していました。

 内装もピュアスポーツカーらしくタイトに設計され、コクピットには5つのアナログメーターを搭載し、各種スイッチを機能的に設置するなど、スポーツカーをドライブしているという高揚感を演出。

 エンジンは最高出力255馬力を発揮する654cc×2ローター・2ステージツインターボロータリーの「13B-REW型」を搭載。

 シーケンシャルツインターボは中低回転域に作動するプライマリーターボと、4500rpm以上の高回転域でプライマリーターボに加わって作動するセカンダリーターボによる過給システムです。

 また、プライマリーターボのみが作動している状態でもセカンダリーターボを予回転させることで、シングルターボからツインターボへの切り替えをスムーズにする工夫が採用されていました。

 シャシまわりではオールアルミ製アームを採用した前後ダブルウイッシュボーンサスペンションに、アルミ製ボンネット、軽量ウインドウガラスなど、細部にわたって軽量化され、パワーウェイトレシオは4.9kg/PSを達成。

 パワフルなエンジンと軽量なボディ、優れた足まわりによって、RX-7はロータリースポーツカーの究極の進化形といえました。

 その後、改良が重ねられて1999年にエンジンが最高出力280馬力に到達し、外観もピュアスポーツカーとしてのイメージを高めるようにモディファイされました。

 しかし、排出ガス規制の強化やスポーツカー人気の低迷もあり、2003年に生産を終了し、RX-7シリーズは歴史に幕を下ろしました。

●三菱「GTO」

迫力あるボディにツインターボエンジンを搭載したフラッグシップスポーツカーの「GTO」

 三菱は1990年に、旧態依然としたFRスポーツカーの「スタリオン」に代わり、4WDスポーツカーの「GTO」を発売しました。

 GTOはアメリカ市場を意識して開発され、ボディは全長4555mm×全幅1840mm×全高1285mmと大型で迫力ある3ドアハッチバッククーペで、まさにフラッグシップにふさわしいものでした。

 トップグレードに搭載されたエンジンは3リッターV型6気筒DOHCツインターボで、最高出力280馬力を誇り、駆動方式はフルタイム4WDを採用。トランスミッションはゲトラグ製の5速MT(後期型は6速MT)が組み合わされ、4WSや電子制御サスペンション、速度によって作動する「アクティブエアロシステム」など、先進技術が惜しみなく投入されていました。

 スポーツカーらしいデザインの外観や、オールラウンドな走りが期待できる4WDのGTOは大いに魅力的な存在でしたが、車重は1700kg(ツインターボ)とかなりの重量級でした。

 そのためブレーキへの負担は深刻で、ターボモデルでは日本車初のアルミ製異径対向4ピストンブレーキキャリパーを採用。さらに1992年のマイナーチェンジではブレーキディスクを17インチ化し、リアブレーキに対向2ピストンキャリパーが装着されました。

 また、1994年のマイナーチェンジでは、4WS、オートクルーズ、フォグランプ、ABSなどをオプション設定として60kg減量した「GTO ツインターボMR」が登場。レーシングカーにも採用されたAP社製6ピストンブレーキキャリパーがオプションで設定されるなど、常にブレーキ性能の向上に努めていました。

 ほかにも1993年にはヘッドライトがリトラクタブルから固定式に変わりフロントフェイスを一新し、1996年にはフロントバンパーのデザインが大きく変更され大型リアウイングが採用されるなど、ボディまわりも進化を続けましたが、GTOは2001年に一代限りで生産を終了しました。

※ ※ ※

 一時期は排出ガス規制や燃費の問題から、自然吸気エンジンが脚光を浴びましたが、現在は再びターボエンジンが主流となりました。

 仕様としては燃費性能を重視したものから、パワーを追い求めているものまで、さまざまなターボエンジンがありますが、昔との大きな違いはフィーリングではないでしょうか。

 昔のターボエンジンは明確なターボラグがありましたが、今のターボエンジンは自然吸気と変わらないほど自然なパワー特性のエンジンが格段に増えました。

 それでいて、リッターあたり200馬力以上を誇るターボエンジンも存在するなど、技術の進歩は目覚ましいものがあります。

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