「カクカク」や「まるっと」もあり!? デザインが超絶斬新だった昭和の車3選

クルマの外観デザインは、販売台数を左右するもっとも重要な要素です。デザインは時代によって変化を繰り返し、各メーカーともさまざまなデザインを試してきました。そこで、ユニークなデザインを採用した昭和のクルマを、3車種ピックアップして紹介します。

個性豊かな昭和デザインのクルマを振り返る

 クルマの購入を検討する際には、最終的に外観のデザインで決めるという人が多いのではないでしょうか。また、外観を一見して「欲しい!」という思いに駆られるケースもあるでしょう。

当時としては斬新すぎるデザインを採用した昭和の名車たち
当時としては斬新すぎるデザインを採用した昭和の名車たち

 そのくらいクルマのデザインは重要な要素で、各メーカーとも優秀なデザイナーを雇い、時には著名なデザイナーやデザイン工房に依頼するほどです。

 さらに、デザインは時代によって流行があり、技術の進歩によってもデザインの方向性が大きく変わることもあります。

 一方、昭和の時代にはデザインもトライ・アンド・エラーが繰り返され、非常にユニークなモデルも存在しました。

 そこで、当時としてはかなり斬新なデザインを採用した昭和のクルマを、3車種ピックアップして紹介します。

●日産「プレーリー」

今のミニバンに必要な要素を先取りしていたエポックメイキングなモデルの初代「プレーリー」

 1990年代の中頃から爆発的に普及が始まったミニバンは、またたく間にファミリーカーの定番車種となりました。

 この国産ミニバンの元祖といえるモデルが、1982年に発売された日産初代「プレーリー」です。

 プレーリーは新ジャンルのクルマとして開発されたモデルで、後部ドアは両側スライドドア、しかもセンターピラーレスを採用し、内装は8人乗り3列シートと5人乗り2列シートを設定するなど、現在のミニバンの要素を確立していました。

 当時、6人以上の多人数乗車が可能なクルマといえばワンボックワゴンが主流でしたが、プレーリーは背の高いステーションワゴンタイプのボディで、スペース効率を高めるために平面に近いボディパネルで構成された直線基調のフォルムでした。

 駆動方式はFFの2WDと4WDで、室内は低くフラットなフロアによる広い空間を実現し、シートはフルフラット化やオプションで2列目シートが回転する「回転対座シート」が設定されるなど、多彩なシートアレンジを可能としていました。

 また、リアゲートはバンパーから開く大きな開口部が特徴となっていたことから、荷室へのアクセスも良好で、3人乗りと6人乗りの商用バンもラインナップされました。

 エンジンは最高出力85馬力(グロス、以下同様)の直列4気筒SOHCと100馬力の1.8リッターで、後に110馬力の2リッターエンジンも加わりました。

 日産は初代プレーリーを「ボクシー セダン」と呼称し、ファミリーカーとしてだけでなくレジャー用にも訴求しましたが、センターピラーレスの弊害でボディ剛性が低下しており、乗り心地や運動性能が悪化。さらに多人数乗車時にはエンジンが非力だったこともあり、ヒット作にはなりませんでした。

 その後、1988年に2代目にフルモデルチェンジするとセンターピラーレス構造を採用せず、現在のFFミニバンにより近いスタイリングに変貌を遂げました。

 ちなみに初代プレーリーはアメリカとカナダ、欧州にも輸出され、アメリカでは日産「スタンザワゴン」、カナダでは「マルチ」の名で販売されました。

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●トヨタ「スポーツ800」

スピードアップを軽量化と空力性能の向上で実現した王道スポーツカーといえる「スポーツ800」

 クルマの外観デザインは、見た目の印象だけでなく空力性能も考慮しなければなりません。とくに高い速度域での空気抵抗の増大は、燃費や走行安定性に大きな影響を及ぼします。

 現在は1/1スケールの風洞実験だけでなく、コンピューターによるシミュレーションによって空力性能の向上が図られていますが、今から50年以上前にも空力性能にこだわったモデルとして、トヨタ「スポーツ800」がありました。

 1965年に発売された2シーターFRスポーツカーのスポーツ800は、1962年の「全日本自動車ショウ」(東京モーターショーの前身)に出展されたコンセプトカーの「パブリカスポーツ」をベースにデザインされました。

 ボディサイズは全長3580mm×全幅1465mm×全高1175mmと、現在の軽自動車とほぼ同サイズというコンパクトさで、全体のフォルムは風洞実験を繰り返して空力性能を重視したことから、ほぼすべてのボディパネルが曲面で構成され、ルーフは脱着式のタルガトップを採用していました。

 シャシとパワートレインは大衆車の「パブリカ」をベースとしており、エンジンは800cc空冷水平対向2気筒OHVを搭載し、スポーツ800専用にチューニングされ最高出力45馬力を発揮。

 また、アルミ製パーツを各所に使用するなどして車重はわずか580kgと軽量で、空気抵抗を低減したことから最高速度は155km/hと同クラスを大きく上まわる走行性能と、優れたコーナリング性能を誇りました。

 スポーツ800はパワーよりも軽量化と空抵抵抗の削減によって、出力以上の性能を引き出すという、大衆車ベースのスポーツカーならではのコンセプトでした。

 その後、スポーツ800は大きな改良もないまま、1969年に一代限りで生産を終了しました。

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●ホンダ「ライフ ステップバン」

現在の軽トールワゴン/ハイトワゴンに通じるスタイリングを確立していた「ライフ ステップバン」

 近年、日本の自動車市場でもっとも売れているクルマといえば軽自動車ですが、なかでも長年トップセラーに君臨しているのが軽トールワゴン/ハイトワゴンで、そのスタイリングを50年前に確立していたのがホンダ「ライフ ステップバン」でした。

 1972年に発売されたライフ ステップバンは、その名のとおり軽乗用車の「ライフ」の主要なコンポーネンツを流用した商用バンとして開発されました。

 外観は背が高いボクシーなフォルムで、極端に短いボンネットがあるセミキャブオーバーのスタイルを採用。すべてヒンジドアの4ドアで、リアゲートは上下二分割が採用されました。

 キャブオーバータイプの軽バンは、フロントシート下にエンジンを置き後輪を駆動するFRが主流でしたが、ライフ ステップバンはFFだったことからプロペラシャフトが不要となり、低床で使い勝手の良い荷室を実現。

 また内装ではデスクにもなる形状のインパネに、ペンホルダーを装備し、折りたためばフラットなフロアとなるリヤシートなど、商用車に必要なアイデアが満載でした。

 エンジンはライフと同型の360cc水冷直列2気筒SOHCシングルキャブで、最高出力は30馬力と十分なパワーを発揮。

 デザインもユーティリティも優れた商用バンのライフ ステップバンでしたが、ホンダは初代「シビック」の生産と改良に注力するため、既存の軽トラック「TN」シリーズ以外の軽自動車の生産を休止すると宣言し、1974年にライフ ステップバンは生産終了となりました。

 ちなみに1973年には、ライフ ステップバンをベースにした軽トラックの「ライフ ピックアップ」も発売されましたが、生産期間はわずか1年ほどと、極端に短命でした。

※ ※ ※

 今回、紹介した3車種はどれも大ヒットしませんでしたが、記録より記憶に残るクルマといえます。

 当時の開発者の思いが伝わってくるような名車ばかりです。

 現行モデルで販売台数上位のクルマは、月に1万台から2万台のセールスを記録していますが、50年後でも語り継がれるようなクルマはどのくらいあるのでしょうか。

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