「テンロク」エンジン車の全盛期を飾った名作たち! ネオクラシックなホットハッチ3選

1980年代から1990年代に発売されたクルマを「ネオクラシックカー」や「ヤングタイマー」と呼び、現在、世界的にも人気があります。なかでも高性能なモデルがもっとも注目を集めており、価格も尋常ではないほど高騰しています。そこで、ネオクラシックカー世代で隆盛を極めていた1.6リッターエンジンのホットハッチを、3車種ピックアップして紹介します。

かつて隆盛を極めていた「テンロク」エンジンのホットハッチを振り返る

 近年、世界的に絶版車が人気を集めていますが、とくに1980年代から1990年代に登場した「ネオクラシックカー」がもっとも注目されています。

ネオクラシック世代で隆盛を極めていた1.6リッターエンジンのホットハッチたち
ネオクラシック世代で隆盛を極めていた1.6リッターエンジンのホットハッチたち

 この世代のクルマは性能的にも現在のモデル比べても遜色なく、デザインやアナログな部分が残されたメカニズムも魅力的です。

 なかでも高性能なモデルは価格が著しく高騰しているほど、人気となっています。

 そこで、ネオクラシックカー世代で隆盛を極めていた1.6リッターエンジンのホットハッチを、3車種ピックアップして紹介します。

●ホンダ「シビック Si/SiR」

後の「タイプR」につながる礎にもなった4代目「シビック Si/SiR」

 ホンダは1972年に、新世代のベーシックカーとして初代「シビック」を発売。そして、1983年に登場した3代目で一気に高性能化を果たしました。

 その後、1987年には4代目がデビュー。よりワイド&ローなフォルムとなったボディによって、一層スポーティな印象となりました。

 高性能グレードの「Si」には3代目から引き継いだ最高出力130馬力を発揮するZC型を搭載する一方で、足まわりが4輪ダブルウイッシュボーンとなったことから、運動性能は大幅に向上しました。

 しかし、ライバルに対してさらにアドバンテージを得るため、1989年に「インテグラ」に続いて、可変バルブタイミングリフト機構「VTEC」を採用した「B16A型」エンジンを搭載する「SiR」が登場。

 1.6リッター直列4気筒DOHCエンジンは自然吸気ながら、クラストップとなる最高出力160馬力を誇り、レッドゾーンが8000rpmからという当時としては驚異的な高回転型でライバルを圧倒しました。

 低回転域のトルクもVTECの効果によって十分に保たれ、普段使いからスポーティな走りまでオールマイティな高性能エンジンとして高く評価されました。

 その後、1991年に5代目が登場してSiRは最高出力170馬力まで向上し、1997年に6代目をベースとした「タイプR」誕生への布石となりました。

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●三菱「ミラージュ サイボーグR」

シリーズ初の高回転型高出力自然吸気エンジンが搭載された「ミラージュ サイボーグR」

 三菱は1978年に、同社初のFF車となる初代「ミラージュ」を発売しました。追ってクラス初のターボエンジン車を追加ラインナップするなど、コンパクトカーの高性能化の先駆けになりました。

 その後代を重ね、ミラージュのトップグレードはハイパワーなターボエンジンというのが定番となりましたが、1992年に発売された4代目の「ミラージュ サイボーグR」にはシリーズ初の高回転型で高出力の1.6リッター直列4気筒自然吸気エンジンが搭載されました。

 このエンジンはバルブ駆動に三菱独自の可変バルブタイミングリフト機構「MIVEC」が採用され、最高出力175馬力を発揮しながらも、低回転域での扱いやすさも兼ね備えていました。

 また、サスペンションはフロントがストラット、リアにマルチリンクの4輪独立懸架を採用し、優れたコーナリング性能を発揮するなど、高性能コンパクトカーにふさわしいシャシ性能を獲得していました。

 ミラージュ サイボーグRはシビックに対抗するかたちでモータースポーツの世界で活躍し、なかでもアマチュアや学生が数多く参戦していたジムカーナでは好成績を収め、競技用ベース車として高い人気を誇りました。

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●ダイハツ「シャレード デ・トマソ」

長い歴史のファイナルモデルで集大成でもあった「シャレード デ・トマソ」

 ダイハツは1977年に、自社開発した次世代のコンパクトカー、初代「シャレード」を発売。量産車では世界初の1リッター4サイクル直列3気筒SOHCエンジンを搭載し、2代目では世界最小となる1リッターディーゼルエンジン、同ターボエンジンを設定するなど先進的なモデルでした。

 そして、1984年には2代目シャレードをベースに、イタリアのチューナーであるデ・トマソが監修した高性能モデル「シャレード デ・トマソターボ」が発売され、走り好きの若者からも高い人気を獲得。

 3代目ではデ・トマソがラインナップされませんでしたが、1993年に発売された4代目でデ・トマソグレードが復活しました。

 外装には専用のエアロパーツが装着され、4輪ストラットの足まわりは専用セッティングで、ピレリ製タイヤと4輪ディスクブレーキが奢られました。

 内装ではナルディ製ステアリング、レカロ製シートなど、歴代のデ・トマソグレードに共通する海外ブランドの逸品が装着されていました。

 エンジンはシリーズ初の1.6リッター直列4気筒DOHC自然吸気を搭載。最高出力125馬力と控えめでしたが、車重はわずか900kg(MT車)と軽量なことから、十分な動力性能と優れた運動性能を発揮しました。

 その後、2000年に後継車である「ストーリア」にバトンタッチするかたちで、シャレードは長い歴史に幕を下ろしました。

※ ※ ※

 近年のコンパクトカーは経済性を重視しており、高性能なエンジンを搭載したモデルは激減してしまいました。

 軽量なボディにパワフルなエンジンという組み合わせはドライビングプレジャーあふれるものですが、高性能化よりも燃費の向上や車両価格を抑えることが、コンパクトカーの本来の姿なのかもしれません。

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